'; ?> JCAPIIの取り組み|JCAP2|JCAP&JATOP&J-MAP|一般財団法人 石油エネルギー技術センター(JPEC)
  1. JCAP&JATOP&J-MAPホーム
  2. JCAPII

JCAPIIの取り組み

2002年度から2006年度の5年間の予定で、JCAPIIを行っており、2005年6月には第4回成果報告会を開催し、JCAPIIの成果の中間まとめを報告しました。

JCAPIIの取り組み

1.JCAPIIの目標と研究開発課題

(1)自動車・燃料品質研究

●ガソリン車とガソリン

  1. 最先端排出ガス低減技術を搭載するガソリン車と理想的な燃料の組み合わせによる排出ガスおよびCO2低減ポテンシャルの評価を行い、将来のガソリン品質(硫黄分、芳香族分、蒸留性状等)の方向性を見極めます。
  2. 直噴ガソリンエンジンのデポジットが排出ガスに及ぼす影響および燃料性状(硫黄分、芳香族分、蒸留性状等)、添加剤が排出ガスに及ぼす影響の評価を行います。
  3. 製油所からエンジン排出までを含めた総合的なCO2削減を目指した、望ましいオクタン価の把握を行います。
  4. 含酸素燃料(ETBE、エタノール)を用いた排出ガス等への影響の評価を行います。以上により、将来のガソリン品質の方向性を見極めます。

●ディーゼル車と軽油

  1. 最先端排出ガス低減技術を搭載するディーゼル車と理想的な燃料の組み合わせによる排出ガスおよびCO2低減ポテンシャルの評価を行い、将来の軽油品質(硫黄分、芳香族分、蒸留性状等)の方向性を見極めます。
  2. エンジンオイルが排出ガス後処理装置に及ぼす影響を評価し、将来のエンジンオイル品質の方向性を見極めます。
  3. 微小粒子等の計測法に関する研究を行い、実際の走行条件に近い条件での排出ガス性能の評価方法を確立します。

(2)新大気モデル開発

自動車等からの実際の走行条件での排出量予測モデル、微小粒子(特に二次粒子)の生成・拡散モデル、沿道や都市域の大気質予測モデルの研究を行い、高精度な大気質シミュレーションプログラムの開発を行います。これにより、自動車排出ガスの低減、固定発生源対策や交通政策等の大気改善を狙った様々な施策の効果を的確に予測・分析し、政策に資するデータの提供を行います。

2.推進体制

JCAPII事業は、各界(産・官・学)の代表者からなる「自動車及び燃料研究委員会」により、研究計画および研究成果の審議・承認を受けて進められます。

具体的な研究計画の立案および結果の評価は、学識経験者で構成される「自動車・燃料専門委員会」および「大気モデル専門委員会」による技術的指導を受けながら、自動車業界および石油業界の専門家で構成されるWG(ワーキンググループ)により進められます。

研究に必要な各種実験は主に石油エネルギー技術センターの「石油基盤技術研究所」で行われ、一部は一般財団法人日本自動車研究所で、また最先端技術評価の一部は自動車会社および石油会社により行われます。

一方、大気質シミュレーションモデルの構築については、石油エネルギー技術センターのJCAP推進部の大気研究グループにより進められます。

JCAPII組織図(2006年1月現在)
JCAPII組織図(2006年1月現在)

3.期間、予算等

JCAPIIの活動期間は2002年から5年間、予算規模は5年間で総額56億円(内補助金44億円)を予定しております。

4.JCAPIIの各WGの研究計画及び主な成果

ガソリン車WG

ガソリン車WGでは、低排出ガスと燃費向上(CO2削減)の両立が要望される中で、自動車技術の進歩を支えうる燃料技術の改善とは何かを研究しています。
 これまで、

  1. 最先端技術搭載車両(MPI車、直噴車)を用いた、排出ガス・燃費に及ぼす燃料性状(蒸留性状、アロマ分)の影響評価(燃料マトリックス試験)
  2. 最先端技術搭載車両(直噴車)を用いた、排出ガス及び排ガス後処理装置の燃費に及ぼす燃料中の硫黄分の影響評価(走行試験)
  3. 燃費及びCO2排出量に及ぼす燃料オクタン価(RON)の影響(エンジン単体試験及び実車燃費シミュレーション)

について調査を行いました。
2.の研究では、直噴車の場合、燃料中の硫黄分を50ppmから10ppmに低減することにより、排ガス後処理装置に添加する燃料が減少するため、10・15モードの燃費が約5%向上出来ることが判りました。3.の研究では、以下のような結果が得られています。

実車燃費シミュレーションによる燃料オクタン価(RON)の燃費への影響評価結果

実車燃費シミュレーションによる燃料オクタン価(RON)の燃費への影響評価結果

(注)10・15モード走行時の燃費(km/l)をシミュレーションにより算出した。尚、燃費変化率には、エンジン圧縮比の変更・燃料性状の変化・ファイナルドライブギアの変更による効果が含まれる。
エンジン圧縮比の変更は、日本、欧州にて販売されている車両のエンジン諸元値から、1RON当たりの圧縮比の上げ代を0.07/RONと仮定した。

また、平成17年度は、含酸素燃料の及ぼす部材・排出ガスへの影響検討としてETBE混合燃料の評価を実施し、更に平成18年度は、含酸素燃料(ETBE、エタノール)を用いた燃料マトリックス試験による排出ガスへの影響の検討を実施する予定です。

ディーゼル車WG

ディーゼル車WGでは、最先端技術搭載ディーゼル車・エンジンと理想的な燃料の組み合わせによる排出ガス及びCO2低減のポテンシャル評価を行っています。
 これまでの研究で、NOx吸蔵還元型触媒(NSR)システム付きエンジンの場合、燃料中の硫黄分を50ppmから10ppmに低減することにより、排ガス後処理装置に添加する燃料が減少するため、燃費が約4%向上出来ることが判りました。  現在、

  1. 最先端技術搭載車両・エンジンを用いた、排出ガス・燃費に及ぼす燃料性状(蒸留性状、アロマ分)の影響評価(燃料マトリックス試験)
  2. 最先端技術搭載車両・エンジンを用いた、排出ガス及び排ガス後処理装置の燃費に及ぼす燃料中の硫黄分の影響評価(走行試験)

について調査を行なっています。
 また、予混合低温燃焼条件下での燃料品質の影響を検討する研究も実施中です。

NOx吸蔵・還元型触媒の反応メカニズムと硫黄被毒再生について
NOx吸蔵・還元型触媒の反応メカニズムと硫黄被毒再生について

オイルWG

オイルWGでは、燃料がクリーンになるとエンジンオイル中の添加物の影響が相対的に大きくなることから、エンジンオイルが排出ガス後処理装置に及ぼす影響を評価しています。
 これまでの研究で、連続再生式DPF(CR-DPF)に及ぼすオイルアッシュの影響の評価を行い、

  1. オイルの硫酸灰分を低減すると、排出ガス中(DPF手前)の金属分が低減され、連続再生式DPF(CRDPF)へのアッシュ堆積量は減少し(主成分はCaSO4)、圧損上昇も緩和される
  2. 運転条件、DPFサイズ、オイル添加剤組成に依らず、排出ガス中の金属分のほとんどがCR-DPFに堆積する

こと等が判りました。
 また、NOx吸蔵還元型触媒に及ぼすオイル添加剤の種類・組成の影響についての試験が完了し、データの取り纏め中です。

排出ガス浄化システムとDPF使用上の課題
排出ガス浄化システムとDPF使用上の課題
出展:「DPF対応ディーゼルエンジンオイルの品質ガイドライン」(社)日本自動車工業会・石油連盟

未規制物質WG

未規制物質WGでは、生体影響の懸念される自動車排出ガス中の微小粒子(粒径が50nm以下のナノ粒子含む)や未規制物質の排出実態を把握するための研究を行っています。
 これまでの微小粒子の粒径分布に関する研究では以下のことが確認されました。

  1. 計測法について、PPFDIIを用いた微小粒子計測システムを用いて適切な希釈条件を設定することにより、大気放出時の微小粒子の粒径分布を再現できることを追従走行測定、風洞試験により評価・確認した。
  2. 後処理装置の無いディーゼル車では、定常(一定速度)走行時のナノ粒子の生成は限定的であり、過渡試験時には減速時主体にナノ粒子生成が認められた。
  3. ディーゼル車から排出される微小粒子の抑制には、DPFや燃料の低硫黄化が有効であることが示唆された。

今後は、各種車両(ガソリン、ディーゼル)と燃料(ガソリン、軽油)の組み合わせにおける微小粒子排出実態の把握、未規制物質の排出実態の把握等を行う予定です。

微小粒子の大気放出測定試験の一例
追従走行試験:試験車が排出する微小粒子を追従車(微小粒子計測車)に搭載した計測器で計測 風洞試験:試験車を風洞で覆い前方から風を送り、試験車が排出する微小粒子を後方で計測
微小粒子の大気放出測定試験の一例

大気放出を再現する微小粒子測定システム(PPFDII) 大気放出を再現する微小粒子測定システム(PPFD2)大気放出を再現する微小粒子測定システム(PPFD2)

過渡試験における微小粒子排出測定結果の一例(ディーゼル車JE05モードPPFDII)
•横軸:時間(秒)
•縦軸:粒径(mm)
•粒子数濃度:青(低濃度)→赤(高濃度) 過渡試験における微小粒子排出測定結果の一例(ディーゼル車JE05モードPPFDII)

CO2排出量調査WG

CO2排出量調査WGでは、製油所での燃料製造段階からエンジン排出までを含めた総合的なCO2削減を考慮し、ガソリン及び軽油を低硫黄化した場合のCO2排出量の調査、ガソリンのオクタン価アップが製油所並びに自動車からのCO2排出量に及ぼす影響調査を行い、燃料品質のポテンシャルを見極め将来の燃料品質改善について施策に繋がるデータを提供してきました。
 これまでの研究で、

  1. 軽油については、硫黄分10ppm化により製油所で発生するCO2の増加はあるものの、ディーゼル車の燃費が向上し、短期間で総CO2排出量削減が見込める。
  2. ガソリンについては、硫黄分10ppm化によりガソリン車の燃費向上が見込めるものの、製油所で発生するCO2を上回るには長期間が必要、ただし、燃費に優れた直噴・リーンバーン車の普及が促進される場合は、短期間で総CO2排出量の削減が見込まれる。
  3. ガソリンのオクタン価アップについては、既存のガソリン基材では、自動車燃費改善率が3.35%の場合、90〜95RONの範囲内では、総CO2排出量が極小となる最適オクタン価は見出せなかった。

こと等が判りました。
 3.については、需給面での大きな環境変化、精製・自動車技術の進展に対応し、適時行われる必要があり、政策決定にあたってはCO2排出量のみならず、費用対効果・製品需給・品質等についてもあわせて総合的に検討されることが望ましいとの提言を行いました。

大気モデル研究グループ

1)大気モデル開発
 大気モデル研究においては、沿道の大気汚染状態をモデルで表すために、沿道大気質予測モデル(道路周辺の汚染物質の発生と風の流れによる濃度変化を予測)及び広域大気質予測モデル(東アジアから都市域まで広がる大気汚染物質濃度を予測)を統合した大気質予測シミュレーションモデルの構築を行っています。

SPM濃度分布計算結果
SPM濃度分布計算結果
上馬沿道におけるSPMシミュレーション結果
上馬沿道におけるSPMシミュレーション結果

2)排出量モデル開発
排出量モデル開発  排出量モデル研究においては、大気質予測を行うための入力データとして重要な排出インベントリーデータ(自動車からの排出量推計とその他発生源からの排出量)の整備を行っています。
 これまでの研究で、加減速時の瞬時の排出量を精度良く測定するための排出ガス測定モードを開発し、様々なカテゴリの車両についてシャシーダイナモ上で排出ガスの計測データを収集するとともに、先進の遠隔計測システム(Remote Sensing Device)を導入し、ハイエミッター(整備不良や故障等のために通常よりも多量の排出ガスを排出する車両)のインベントリー推計に活用しました。
 今後は、2004年度までに開発した排出量推計モデルをもとに、2006年度までに様々なケース・スタディを実施する予定です。

3)粒子モデル開発
ナノ粒子の濃度分布計算結果(10〜20nm)  粒子モデル研究においては、従来扱ってこなかったナノ粒子の計測、観測を通して沿道におけるナノ粒子の実態把握、沿道における粒子の変化プロセスの明、モデル入力条件データの蓄積、粒子モデルの構築、検証などを行っています。
 これまでの研究で、沿道ナノ粒子と交通量との相関や、後背地への拡散挙動の把握を行ってきており、今後は、ナノ粒子の組成の把握、粒子モデル(凝集モデル、沈着モデル)の検証、凝縮/蒸発、核生成モデルの必要性の検討について研究を行う予定です。

欧米との協力
 先端的技術研究のためには、海外の専門家との技術情報交換が重要であり、当センターでは海外の研究機関と継続的な技術交流を行っています。
 2001年10月に欧州JRCと、2002年2月に米国NRELと覚書を取り交わし、日米欧の専門機関による自動車排ガス低減等の技術交流を活発に行っています。

JRC:Joint Research Center
●EU傘下の研究機関であり、大気モデルと微小粒子計測についての技術交流の覚書を締結しました。 NREL:National Renewable Energy Laboratry
●米国DOE傘下の研究機関であり、ディーゼル排ガス対策についての技術交流の覚書を締結しました。