ホーム > 石油情報プラザ > 世界製油所関連最新情報(月次レポート)

世界製油所関連最新情報(月次レポート)

本資料は、一般財団法人 石油エネルギー技術センター石油情報プラザの情報探査で得られた情報を、整理、分析したものです。無断転載、複製を禁止します。

平成24年(2012年)4月

米国北東部および中部大西洋岸地区で導入が検討されている低炭素燃料基準の影響について各方面から検討が行われているが、CEAが低炭素基準が燃料価格、地域の経済や雇用に与える影響度などについての報告した内容を紹介する。

アラスカのNorth Pole製油所が、一部装置を停止する。原油価格、North Slope原油に依存している状況、地理的条件等の要因について解説する。また同製油所停止に伴うジェット燃料供給体制や同地域の鉄道事業への波及についても紹介する。

米国北東部のPhiladelphia地区の3製油所売却に伴う地域経済へ影響と入札状況を報告する。地域の燃料需給への影響が懸念され政府機関の調査が進む中で、全米鉄鋼労働組合(USW)は製油所停止が国民経済、安全保障へ与える影響の調査を連邦関係当局に対して提案した。

SunocoのPhiladelphia製油所に対しては、資源開発関連企業を含む3社が入札している。Bakken原油等の非在来型原油との関連が注目される。ConocoPhillipsのTrainer製油所には有力2社の買収候補が出現。異業種の航空会社Delta Air Lineが入札した背景と業界の見解を紹介する。

ヨーロッパ地域からは、EU域の製油所の効率改善状況、ギリシャ、ノルウェーの製油所の現況について報告する。環境規制強化に対応してきたEU域内製油所のエネルギー効率改善の取組みに関する欧州石油環境保全連盟(CONCAWE)の報告の紹介。クリーン燃料の生産・温室効果ガス(GHG)排出削減の取組が進み、運転コストに占めるエネルギーコストは、原油高騰の影響も受けて増大した。重質油の軽質油への転換を考慮すると製油所のエネルギー効率は改善している。

ギリシャでは財政再建のための国営企業の民営化政策により、同国最大の石油精製会社Hellenic Petroleum S.A.の政府持株が売却される方針である。同社の買収先候補としてロシアGazprom Neftが浮上しているが、これに関連してGazprom Neftの欧州製油所買収の動きにも触れる。

ノルウェーからは、同国最大の精製能力を有し、北海原油中継基地も併設されている国営Statoil社のMongstad製油所閉鎖の動きを紹介する。精製マージン減などの理由のほかに、各種の税負担やCCS関連負担等の要因が製油所財政を圧迫していると見られる。

ロシア・NIS諸国の情報としては、ロシア、アゼルバイジャン、キルギスの情報を伝える。ロシアのBashneftは傘下の企業を統合・事業再編し、開発・精製・事業をBashneft本体が展開する。石油精製部門では、同社は保有3製油所で設備の新・増設プロジェクトを進めている。

アゼルバイジャンではSOCARがカスピ海沿岸で計画中の新設総合製油所プロジェクトが進展し、2013年着工の予定。処理原油や生産予定製品が明らかになりつつある。

キルギスは石油製品の大半をロシアからの輸入に頼っているが、燃料供給の安定化が急務で、自給率拡大を達成するための製油所建設計画をアゼルバイジャンと進めている。SOCARによる製油所建設プロジェクトをキルギスの需給状況、原油事情、ロシアとの関係などから解説する。

中東地域の情報としては、UAEで計画中のAl Dahra AgriculturalとW.A.GraceによるFCC触媒工場の建設を紹介する。需要増が見込める中東、アジアの市場への触媒製品供給を見据えたものでプラントはアブダビに建設予定。カタールとShellの合弁事業Pearl GTLは世界の天然ガス増産の中で注目されているが、運転開始から直近の製品出荷状況までのプロジェクトの進捗状況を報告する。

アフリカ地域の情報としては、昨年の内戦で破壊されたリビアの油田・製油所の生産量の復旧状況を紹介する。原油生産は、予想以上のペースで回復し輸出も順調。製油所の稼動は、原油生産の復旧度に比べ遅れている。

中南米地域の情報としては、今年初めのSt.Croix製油所に続く、カリブ海のValero EnergyのAruba製油所の閉鎖情報について、製油所の競争力低下の理由や製品輸出先である米国市場への影響を報告する。

東南アジア地域の情報としては、インドとベトナムの製油所拡張プロジェクトを紹介する。インドのEssarのVadinar製油所で水素化精製設備が完成。各種設備の完成により燃料製品のクリーン化、重質原油処理能力の増強が達成された。インド国内で進行中のクリーン規格燃料の供給能力や輸出対応力が強化されるとともに、重質原油処理によるマージンアップを狙っている。

Petrovietnamは、Dung Quat製油所拡張プロジェクトの資金調達のため製油所株式の一部売却を表明した。ベトナムでは製品自給率を高めるために、同製油所増強を含めた複数の製油所プロジェクトが提案されている。

東アジア地域の情報では、韓国Hyndai Oil Bankの潤滑油事業進出についてShellと合弁企業設立と、ベースオイルプラント建設を紹介する。
中国からは、製油所建設状況を2件報告。PetroChinaが四川省に建設中のSichuan製油所とSinochemがQuanzhouに建設中の大型製油所の現状について報告する。

オセアニア地域の情報としては、オーストラリアのバイオ航空燃料開発状況について、Virgin Australiaグループのプロジェクトを中心に報告する。原材料の特長と精製プロセスの概要、新たに大手航空機メーカーであるAir Busをメンバーに迎えた プロジェクト推進計画を紹介する。

平成24年(2012年)3月

TransCanadaが進めてきたカナダ産重質原油を米国・テキサス州まで輸送する「Keystone XLパイプライン」建設構想は、Obama米政権が今年1月18日に同パイプラインの建設計画を認可しないと発表したことに伴い、代替案の検討が各方面で加えられているが、カナダ国内では太平洋岸向けパイプラインの建設によるアジア、特に中国への出荷ルートを確保しようとする動きが俄かに脚光を浴びてきている。

太平洋岸向けパイプライン建設については、地元住民や環境団体の根強い反対があるものの、カナダ政府としては建設に向けた動きを取っている。そんな中、当然の様にパイプライン設置反対の立場からの資料や設置に向けて法的障害が存在しない旨を示す資料が数多く公表されている。これ等の資料の中から北米情報として幾つかを紹介する。

カナダ産重質原油をメキシコ湾岸に輸送する構想は、上記の通り“足踏み”を余儀なくされた状況であるが、米国中西部におけるカナダ産重質原油を処理しようとする動きは依然堅調な展開を見せている。今月度はその中からBPに関する情報を、同社が進める製油所売却動向と共に報告し、合わせて非在来型化石燃料開発に沸く生産地で多数の小規模製油所建設に向けた動きが進められている情報と共に紹介する。

ヨーロッパ地域からは、ヨーロッパ最大の独立系精製会社のPetroplusが倒産して数ヶ月が経過し、傘下の5製油所が各企業に買収されつつあるが、もう少し落ち着きを見せた段階で当該事項については報告することとし、今月度は東ヨーロッパ情勢としてポーランド政府が進めるGrupa Lotosの持株売却に係る情報と、ハンガリーのMOLが下流部門から上流部門事業へ投資を充実させつつある状況を報告する。

ロシア・NIS諸国の情報としては、TNK-BPが国内のSaratov製油所でEuro-5製品製造体制を確立するために設備投資を実施する一方、ウクライナに持っているLisichansk製油所では業績不振から運転を停止する可能性があるとの情報とアゼルバイジャンのSOCARが自国内で製油所建設の姿勢を示している他、近隣諸国への展開を強めている情報を報告する。

中東地域情報としては、原油生産や石油精製能力増強と共に石油化学指向を強める中東各国の中からサウジアラビアがChevronと合弁で進めている大型石油化学プロジェクトについての状況並びにホルムズ海峡を迂回するアブダビ原油パイプライン・プロジェクトの進捗状況を報告する。

アフリカ地域の情報としては、東アフリカ地域一帯の開発を目的とした一大経済圏開発プロジェクトであるLAPSSET計画を前進させるべくケニア、エチオピア及び南スーダンの3カ国首脳が会し、計画の開始を祝う式典が執り行われている情報、南アフリカにおけるCoega製油所建設が中国・Sinopecの参加を得て進められようとしている状況、同国で展開されているバイオ燃料事業の開発状況を今月収集された情報を基に報告する。

中南米地域の情報としては、メキシコで数十年来となる新製油所建設が多額の投資を要することから、全体としては建設に向けた動きが取られているものの、原油価格の高止まりが続いている状況では、原油開発に注力し、原油輸出による利益を享受した上で国内需給のアンバランスを改善すべきであると主張する意見が強い現状を報告する。

東南アジア地域の情報では、マレーシアがB5バイオディーゼル燃料を2014年までに国内全土で展開する方針を発表している情報と高成長を続けるインドの石油精製・石油化学分野の市場掘り起こし並びに優秀な頭脳の確保を目的にHoneywellが開発拠点をインドに設立した情報を報告する。

東アジア地域の情報では、中国の新疆ウイグル自治区における精製能力で、ライバルのPetroChinaに遅れを取っているSinopecがTahe製油所の拡張を計画している情報と、今後大幅な需要増が見込まれる中国のジェット燃料に関し、バイオ燃料開発が進んでいる状況を報告する。

オセアニア地域の情報としては、ニュージーランドで唯一のMarsden Point 製油所において、過去2回に亘り近代化・拡張工事が展開されてきているが、第3次工事としてプラットフォーマーを新設し、ガソリン得率を強化することで国内市場の65%シェアを目指すとした動きが取られている情報を報告する。

平成24年(2012年)2月

EUの外相会議においてイラン経済制裁強化の一環としてイラン原油輸入禁止措置が採択され、今年7月から実施に移される運びになっている。一方では当該措置による制裁の意味合いを疑問視する意見もあるが、実際に措置に踏み切るとイランばかりではなくその影響はヨーロッパ、中国、日本に及ぶことは避けられない。

特に、ヨーロッパの製油所における影響は、最近の需要減退や金融危機の影響に加えてイラン原油より高価な原油調達を行わなければならず、益々中東やアジアの最新式製油所で製造される比較的安価な製品との不平等競争を強いられる。この様な状況が続くと今後ヨーロッパの製油所閉鎖は今まで以上に加速され、輸入への依存が高まると見られている。

収集される情報の中には閉鎖される製油所数は20〜25箇所とも70箇所に及ぶとも囁かれ、イタリアの石油業界連盟では相当数の小規模製油所が閉鎖に追い込まれる可能性があるとして危機感を募らせている。

一方、米国の状況は、北東部州の製油所が危機に陥っている状況にあるが、今月は新たに米国領バージン島のSt. Croix製油所の閉鎖、TesoroのハワイにあるKapolei製油所と32箇所の販売店並びに流通事業資産を売却に付すとの情報が検索されている。

しかしながら米国の現状は、相対的には非従来型天然資源開発に沸き、石油製品の輸出が活況を呈している。この辺りの情報をまとめて北米地域及びヨーロッパ地域情報として報告する。

ロシア・NIS地域の情報としては、アゼルバイジャンのSOCARがキルギスで小規模ながら製油所建設を計画し、隣国の中国辺境部への進出も念頭に置いた開発を行おうとしている情報を拾ってみた。

中東地域情報としては、サウジアラビアが巨額な投資を行い、今後10年以内に精製能力を800万BPDに拡張する意欲的な計画を発表している内容と、中国のSinopecが海外で建設する最初の本格的製油所となるSaudi Aramcoと共同で進めているYanbu製油所の状況を報告する。

アフリカ地域情報では、昨年7月にスーダンから南スーダン共和国が独立建国して以来、原油埋蔵量の多い国境付近の一部地区の帰属や原油輸送に際してスーダンを通るパイプライン利用税の支払いを巡り、両国間で紛争が絶え間なく発生しており解決の糸口が見えない状態になっている。

この問題を解決すべく、南スーダンからインド洋側へ出るパイプラインの敷設計画が動き出しているので、その状況とチャドで昨年6月末に完成したばかりのN'Djamena製油所の稼働状況について報告する。

中南米地域の情報としては、アルゼンチンにおいて需給バランスが崩れつつある現状を憂慮する政府が、同国最大手のスペイン系石油会社であるYPFに対して、原油開発や製油所設備投資が充分でないとの不満を募らせつつある状況を報告する。

東南アジア地域情報では、ミャンマー政府が地域開発計画として進めるDawei特別工業地区にミャンマーとの結び付きが強い中国が、製油所建設の動きを示していることを報告する。

東アジア地域情報としては、韓国のSamsung Total Petrochemicalsがアジア地域の旺盛な石油化学製品の需要を背景に、収益基盤強化の一環として設備拡張を行おうとしている内容とクウェート国営石油会社のKPCがSinopecと共に進めている広東省Zhanjiang石化コンプレックスへTotalの参画が決まった情報を報告する。

オセアニア地域情報としては、特別なグリーンテクノロジーを持つLanzaTechが資金調達に成功し、世界各地で進めている実証化プロジェクトの展開や次世代バイオリファイナリーの開発に弾みをつけている情報を拾ってみた。

平成24年(2012年)1月

今月検索された情報の中で注目された情報は、ヨーロッパの独立系精製会社Petroplusが世界経済不況、特に欧州金融危機の影響を受けて経営危機に陥り、傘下の製油所を手放さざるを得ない状況に追いやられていることを上げることが出来る。

同社の現状は、「ヨーロッパ編」で詳しく記すが、66.7万BPDの設備能力を持つ大手石油会社と雖も、収益の上がらない石油下流部門のみでは経営が危うくなることを示しているように思われる。

また、今月の収集記事で目立ったのは、日本企業の活躍である。カザフスタンにおいてはAtyrau製油所近代化工事を丸紅等3社のコンソーシアムが受注したこと、ブラジルのComperj石油精製・石油化学コンプレックス・プロジェクトのユーティリティ設備に関しては、東洋エンジニアリング等3社のコンソーシアムが受注したこと、更にはベネズエラのPuerto La Cruz製油所拡張計画では主要装置の詳細設計・調達支援・建設監理(EPC)業務を日揮及び千代田化工建設が、プロジェクト・マネジメント・コンサルタント業務(PMC)を東洋エンジニアリング等の各コンソーシアムが受注したことである。

この他、北米においてはPhiladelphia地区の3製油所閉鎖に伴い、米国北東部における石油製品供給問題が大きく取上げられているが、その現状、問題点を米国エネルギー省のエネルギー情報局の調査報告書に拠ってみてみた。また、同じ北東部にありながら設備増強計画を立てているPBFのDelaware City製油所の状況を報告する。

ヨーロッパでは上記のPetroplusの情報以外に、バイオ燃料開発分野に特異な動きを取るNeste Oilの情報を拾ってみた。更に、ロシア極東では「東シベリア-太平洋原油パイプライン(ESPO-2)」の設置工事の進捗にあわせて既存製油所が原油供給をESPO-2経由で求める動きを拾っている。

中東情報としてはオマーンにおける新製油所建設計画に関る進捗情報を、また、アフリカ情報としては、イタリアの大手石油会社のEniがアンゴラとの関係で石油上流分野から下流分野に至る部門で関係を強めている現状とリビアのRas Lanuf製油所が国内政情の治まりに伴い運転再開と近代化工事に取り掛かろうとしている状況を報告する。

東南アジア情報ではマレーシア国営石油会社のPetronasが進めるRAPIDプロジェクトの経過情報とインドネシアでSaudi Aramcoが製油所建設で合意した情報を、また、東アジア情報としては中国における2011年の石油需要実績と2012年見通しの概要に関わる情報を集めてみた。

オセアニア情報では、各種要因で苦境に置かれているオーストラリア製油所の現況をCaltex AustraliaのKurnell製油所の一部装置運転停止を例に取りながら報告する。

平成23年(2011年)12月

今月度は、先月度に引続きカナダ産オイルサンド原油に絡む情報が収集できている。カナダ・アルバータ州の「Hardistyターミナル」から米国メキシコ湾岸を結ぶTransCanada社の「Keystone XL pipeline」設置計画が、米国政府の認可が1年遅れになる見込みに加え、ルート変更を余儀なくされて、設置工事は大幅な遅れが見込まれる中、カナダにおいては、オイルサンド原油の輸出先を中国やアジア・太平洋地域に求めようとする動きが、議員や原油生産者の中に増えてきている。

現在のところ、オイルサンド原油をアルバータ州から直接太平洋岸のVancouverまで輸送できる手段は、Kinder Morganが所有する「Trans Mountainパイプライン」のみである。しかし、このパイプラインで輸送できる量にも制限があり、大量輸送に向けた設備投資が必要とされている。また、Enbridgeが計画している同趣旨の「Northern Gatewayパイプライン」計画の動向も気になるところである。今月度は、これ等の計画について得られた情報を整理してみた。

米国においては、製油所から排出される温室効果ガス排出規制に関し、環境保護庁が2011年12月15日までに修正案を提出することになっていたが、現在、非在来型化石燃料開発で注目を集めている水圧破砕設備も検討範囲に取り込むためと思われるが、一旦、修正案提出期限の延長をしている。当該事項に関し、全米石油協会ではより現実的で費用効率的な規則にすべきであるとして、大部の要望書を提出している状況を報告する。

ヨーロッパ地域の情報としては、工業設備から排出された大気汚染物質が原因となり、健康被害や環境へ及ぼす影響を、“damage cost”の概念でまとめた場合の評価について報告する。加えて、英国石油精製事業者団体のUKPIAが、同国精製業が抱える問題や政府に対する検討要望事項をまとめた資料を公表しているので、本件にについても紹介する。

ロシア・NIS諸国からの情報としては、2011年春に発生したロシアの石油製品不足に端を発し、ロシア国内の石油会社が、それまで実施してきた製油所の近代化計画を、更に強力に展開すべく前倒しの実施を余儀なくされ、“政府による統制”とも受取れる方法で実行しつつある状況を報告する。

中東地域の情報としては、フィンランドのNeste Oilが、バーレーン及びアブダビで、同社が加わった共同事業として潤滑油ベースオイルの製造設備を建設し、自社のブランドである“NEXBASE”の販売能力を大きく伸ばそうとしている状況を報告する。

アフリカの情報としては、ニジェールとウガンダを取り上げ、前者においては中国の支援のもと原油開発が進み、小規模ながら新製油所稼動に漕ぎ着けるまでに至った情報を、後者においては豊富な原油埋蔵量を背景に、海外の企業が新製油所建設と絡めた動きを見せる他、ウガンダ政府としても新たな動きを見せていることを報告する。

中南米地域の情報としては、コロンビアのEcopetrolが、2012年予算並びに「2012-2020年長期戦略計画」に伴う予算見直しを行っていること、コスタリカがMoin製油所の拡張・近代化工事を行うに当たり、中国国家開発銀行の融資が得られることになり、工事推進の目処が立ったこと、加えて、エクアドル情報として国営石油会社・PetroEcuadorが上流部門と下流部門に分割され再編成されるとの情報を紹介する。

東南アジア地域の情報としては、中国の大手繊維メーカー・Zhejiang Hengyiが製油所並びに石油化学装置をブルネイで建設する動きが現実味を帯びてきて、中国政府も認めることとなっている他、新製油所の原油供給並びに製品引取りに関して、Shellが関与することで調整が進んでいる状況を報告する。

東アジア地域に関る情報では、SinopecとKuwait Petroleum Corpが共同事業として進めている広東省Zhanjiang石油精製・石化コンプレックスの建設が計画より数ヶ月早い11月中旬に始まったこと、また、オセアニア地域の情報としては、長年検討されてきた「炭素価格制度(通称“炭素税”)」関連法が議会上下両院において僅かな票差ながら可決されたが、2012年7月1日の発効までの間と雖も紆余曲折の恐れがあることを報告する。

平成23年(2011年)11月

米国では中西部における非在来型原油開発が進み、着々と実績を上げてきている。一方、国内外の概して軽質低硫黄原油との価格差を享受すべく、従来から進められてきたカナダ産オイルサンド原油を処理するための製油所拡張工事も幾つかのプロジェクトで工事終了に近づいてきている。

カナダ産オイルサンド原油を製油所が多数存在する米国メキシコ湾岸まで輸送するTransCanada社の「Keystone XL pipeline」設置工事は、環境団体からの猛反対に逢って建設が遅れているが、その合間を縫うかの様にEnbridge社が原油ハブのあるオクラホマ州Cushingとメキシコ湾岸を結ぶ「Seaway pipeline」の転用を検討するなど、俄かに米国中西部原油とカナダ産オイルサンド原油を取巻く環境が騒がしくなってきている。

今月度は、カナダ産オイルサンド原油を処理するための製油所拡張工事が、終了に近づいてきている現状を伝える情報と、全米科学アカデミーが、2022年目標として規定されている再生可能燃料基準での内、セルロース由来エタノールの数値目標達成は大幅な技術的革新が無い限り、達成不可能であると結論付けている状況について報告する。

ヨーロッパ地域に関しては、各国政府が石油精製業に対し直接、間接に関わろうとして模索している様に見える。2010年9月にはイタリアのENIが優遇税制の適用を要請し、2011年6月にはフランス政府が精製業支援を目的に、関連企業を一堂に集めて「アクション・プラン」の作成に主導的役割を演じたこともあった。

また、直接的に精製業を支援する動きではないが、今月度では英国議会下院の委員会が「国内最低精製能力の明確化」並びに民間石油備蓄量の管理等を目的とする機関の設立を提言している情報が得られている。

更に、英国の石油精製及び石油販売事業者団体のUKPIAが、国内石油精製事業の社会への貢献をとりまとめ、石油精製事業者は、EU並びに英国自体による厳しい環境規制に直面し、EU域外の精製事業者に比較して著しく不利な立場に晒されている現状を説明し、公平な法的措置並びに規制環境を要請する資料を公表している。こうした現状について記載した。

ロシア・NIS諸国では、最近特に目にすることが多いロシアにおける石油精製部門への投資情報から、今月度収集された大手民間石油会社のLukoil並びにBashneftの事業展開情報について報告し、中東地域情報では、石油輸出国機構(OPEC)が定期的に公表している「World Oil Outlook」及び「2010/2011 Annual Statistical Bulletin」の両資料に見る石油精製事業の概況を記してみた。

アフリカ地域に関しては、南アフリカにおいて、国内製油所のトラブルや定期修理が集中したためにLPGとビチューメン(アスファルト)の供給不足が大きな社会問題となっているが、背景には需給バランスそのものにも課題があるものと見られている。政府並びに業界の歩調が合わなかった結果と捉えられる。

中南米地域情報では、ベネズエラ国営石油会社のPDVSAが、全世界で展開している事業を、今後5年以内に見直すとして、海外で展開している石油精製資産の整理並びに国内超重質原油開発への資本集中を実施していくとしているが、同社の海外精製資産の現状が報道されているので、その状況を報告する。

東南アジア地域情報では、Moody'sが公表したアジア-太平洋地域の石油・ガス精製業界の見通しに関するスペシャル・コメントについて、東アジア地域情報では、韓国のHyundai Oilbankが蔚山で大規模石油類貯蔵施設を建設する情報を報告する。

この蔚山の石油類貯蔵施設は、現状では規模的にそれほど大きなものではないが、今後、民間貯蔵施設としての物流基地を目指しているもので、韓国政府が2013年までに国家備蓄量をIEA備蓄義務量を大幅に上回る1.4億バレルに増加し、東アジア地域で一大物流ハブを目指している動きと共に注目に値するのではないかと思われる。

オセアニア地域からは、アジア地域で建設が進められている輸出型大規模製油所で生産される製品価格に競合できないことを理由に、これまで製油所の閉鎖が行われている情報を報告してきているが、今回、CaltexもKurnell製油所の装置を順次運転停止させる、との情報が得られている状況を報告する。

平成23年(2011年)10月

今月は米国並びにヨーロッパにおける製油所売却情報が多く収集されている。特に米国においては、Sunoco Inc.のペンシルバニア州に在るMarcus Hook製油所並びにPhiladelphia製油所、ConocoPhillipsもペンシルバニア州のTrainer製油所の売却を発表し、更にConocoPhillipsがニュージャージー州のBayway製油所を売却に付す、との情報が流れている。

国防石油行政地区(PADD)で分類されるPADDT(米国東海岸)に属するこれ等の製油所が売却できない場合には閉鎖される模様で、仮に閉鎖されれば原油の中でも特に軽質低硫黄原油の市場が一挙に失われることになり、原油輸入経路や製品流通経路に大きな影響が出てくることが考えられる。
最近ブームとさえ言える米国でのシェール・オイル開発で当面恩恵を受けられるのは、中西部の製油所、並びに他製油所に先駆けて大量輸送システムを確立できる製油所と思われるが、シェール・オイルの米国東海岸への輸送手段はまだ確立されているとは言い難い。

そんな中、いち早くValeroがNuStar Energyと提携し、Eagle Fordシェール・オイルの輸送・処理態勢の強化に乗り出すと共に、東海岸に向けた製品輸送手段の増強に努めている情報が検索できている。

ヨーロッパの精製業界は相変わらず厳しさを増しているが、深刻な状況に置かれている様子を概括してみた。また、厳しさを増している状況の表れとして、今月度もLyondellBasellがフランスでBerre-L'Etang製油所を閉鎖するとの情報が得られている。
ブルガリアにおいては、ここ数ヶ月、同国唯一の製油所を有するLukoilとブルガリア政府との確執が表面化し、水面下での駆け引きが盛んに行われていたが、一応の決着に向かって動き出している。

中央ヨーロッパ最大の石油会社で、オーストリア国営石油会社のOMVは、今後の戦略として拡張を続けている石油上流部門及びガス開発部門に注力し、石油精製及び販売分野の資産は現状の半分以下に低下させ、地域的には成長が著しいトルコを重視した戦略を取る方針を鮮明に打ち出している。

ロシア地域の情報では、「東シベリア-太平洋原油パイプライン」の第2期設置工事の現状と、ロシア極東開発に前向きな姿勢を示す中央政府と現実を踏まえた状況をベースに製油所建設を判断しようとする企業との間に不協和音が存在している情報を報告する。

中東情報として、西欧の経済制裁を受けているイランの地方自治体がイラン政府のバックアップを受けているか否かについては判然としないながらも、ヨーロッパの一角に製油所を建設する動きを示し始めている情報を報告する。アフリカ情報としては南アフリカのPetroSAが、難産しているCoega製油所建設事業へのSinopecの参加を要請している状況を記載した。

中南米からは、アルゼンチン政府がガソリンとディーゼルの需給で生じたアンバランスが拡大傾向にあることを憂慮し、製油所に対する課税面や価格面での優遇措置を設け、これ等の製品の増産を図る「Refino Plusプログラム」を展開している情報を報告する。

東南アジア情報としては、フィリピン石油精製・販売最大手のPetronが、Limay製油所の拡張・アップグレードを進める一方、国内で高まりつつある石油価格高騰に対する不満を解消する方策として、政府によるLimay製油所の再買上げを要請している情報を報告する。

東アジアの情報としては、東京電力福島第1原発事故を受けて見直しが開始された日本の「エネルギー基本計画」に対し、各業界団体が要望書や提言を提出している中、石油産業の代表団体である石油連盟が提出した「一次提言」について報告する。

尚、今月度に目ぼしい情報が収集されなかったオセアニアに関する報告は割愛する。

平成23年(2011年)9月

オバマ政権の次世代バイオ燃料の増産に向けた施策が、一つ実現に向けて動き出した。
農務省、エネルギー省及び海軍省が相互協力の下、合計5.1億ドルを今後3年間に亘り拠出し、バイオ燃料の国防及び民間での輸送部門での適用を促進することになった。また、ハワイではUOPがエネルギー省の助成金を受け、セルロース系バイオ燃料製造用実証化装置を2012年までに建設し、引続き2014年まで稼動させて各種試験を行う計画である。

製油所売買情報も相変わらず報道され、8月はValeroがMurphy OilのMeraux製油所を買収し、同じルイジアナ州にある自社のSt. Charles製油所との有機的最適化を図る予定である。原油開発部門を持たない精製専業のValeroが、適切な精製マージンが取れ ない中、製油所を最適な場所に集約させることで、原油入手面及び中南米、南米及びヨーロッパ市場を睨んだ製品供給能力の増強へと動いている。

クリーン燃料の法規制に絡んだ動きとしては、米国の北東部州大気利用調整管理同盟が、低炭素燃料基準の採用で輸送分野から排出されるGHGの削減度合いや経済効果がどの程度のものになるかの解析を行った資料が公表されている。資料の読み方で解釈が異なると思われるものの、GHG排出量削減、ガソリン並びにディーゼル消費量削減の観点では効果があると見られる。

8月に検索されたヨーロッパにおける製油所買収・運転再開及び新製油所建設に関する情報では、ドイツのWilhelmshaven製油所をオランダのHestya Energyが買収し、早期の運転再開を図ろうとしている情報と英国でGE Oil & Gas がTeessideで製油所を建設する検討を行っているとの情報が得られている。

ヨーロッパで精製能力を増強できる根拠は何処にも無いと言われている中、これ等の両情報共にその実現については懐疑的にならざるを得ないが、短期的対応策の現れと捉えた場合には別の見方も可能になってくる。

ロシア・NIS諸国の情報では、社会的問題になったロシアでの燃料不足が、近隣諸国に大きな影響を与えたが、この教訓を糧にモンゴルでは製油所建設の機運が高まり、一時休止していたと思われる製油所建設も含めて、政府は3箇所に製油所を建設する検討を開始している。

中東地域の情報では、アゼルバイジャン国営石油会社のSOCARが、トルコの地中海に面したIzmir県の県都Izmirに20万BPDの製油所を、主として石油化学原料の製造を目的に建設する計画が具体的に動き出し、今年10月の着工で2015年までに完成させる情報と、オマーンにおけるSohar製油所の拡張・近代化工事において、処理原油の重質化を念頭に設置される溶剤脱歴装置(SDA)にUOP/Foster Wheelerの技術が採用されることになった情報を報告する。

アフリカ地域からは、南ア議会の全国州評議会の下部組織である経済開発委員会が、国内で進んでいる製油所の老朽化並びに国内雇用の促進の観点から、展開が停滞しているCoega製油所建設に向けた結論を早期に出すように内閣に要請すると共に、財務省に対して予算措置を急ぐように要求している。本件に関し、何らかの結論が年内に出てくる可能性が高い現状を報告する。

中南米地域の情報としては、ブラジル国営石油会社のPetrobrasが毎年ロール・オーバーして見直しているビジネス・プランに見る同社の精製部門への投資計画の内容、今後5年間で精製能力を39.5万BPD 拡張し、その後2020年までには更に106.5万BPDを増強する計画であることを報告する。また、コロンビアのBarrancabermeja製油所の拡張・近代化工事についても報告する。

東南アジア地域情報として、インドの石油天然ガス省のホーム・ページで紹介されている同国における精製能力増強の現状、Hindustan Petroleum Corp Ltd(HPCL)が進めているBathinda製油所並びにVizag製油所の現在の建設状況、老朽化したMumbai製油所に替わる新製油所建設用地確保に動いている状況を報告する。

また、SanMiguelがExxonMobilのマレーシア精製事業を買収し、傘下に収めるPort Dickson製油所に関し、同製油所が比較的簡単な構成で装置の老朽化が進んでいるため、今後5年以内に近代化させ、多様な原油処理が可能な製油所に改造する計画について報告する。

東アジア地域からは、数々の制約があると思われる中、台湾の石油化学会社4社からなるコンソーシアムが、中国国営石油会社Sinopec Group並びに福建省政府と提携して、福建省Zhangzhouに製油所並びにナフサ分解装置を建設する検討を開始した情報を報告する。

大洋州地域の情報としては、Kurnell製油所とLytton製油所を持つCaltex Australiaが、両製油所の閉鎖を含めた精製事業の見直しを数ヶ月前から検討していること。両製油所の精製能力は全オーストラリアの精製能力の約1/3に相当しており、その影響はかなり大きなものならざるを得ないこと。この様な検討が行われる背景には、Gillard政権が導入を進める炭素税も暗い影を落とし、間接的な影響を及ぼしている状況を報告する。

平成23年(2011年)8月

米国で現在ガソリン性状を規制するために施行されている規則は“Tier2”と呼ばれる基準に則ったものであるが、実際には統一規格にはなっていない“boutique gasoline”と呼ばれる特殊ガソリンが米国内の地域ごとに数多く存在する。

次段階の“Tier3”基準の施行までには時間的余裕があるものの、環境保護庁(EPA)では、硫黄含有量が最大平均値として10ppmに規制する“Tier3”基準の施行に向けた準備と共に、数多く存在する特殊ガソリンを連邦規格として一つにまとめる動きを取り始めている。

EPAでは関係機関を集めた会議を持ち、検討を進めて2011年12月には具体的内容の提案を行うことにしているが、早速各関係機関からの反応が出てきている。これ等の中から、カリフォルニア州大気資源局(ARB)と、施行されれば多額の設備投資を余儀なくされ、4〜7箇所の製油所閉鎖の可能性が出てくるとした米国石油協会(API)の反応を拾ってみた。

この他、米国情報としてMurphy Oilが精製事業からの撤退を進める中、ウィスコンシン州に持っているSuperior製油所の正式売却を決めた情報、Tesoro Corp.のAnacortes製油所で「Bakkenシェールオイル」の処理に向けた対応が取られている情報を報告する。

ヨーロッパ地域では、EU加盟27カ国のバイオ燃料消費量(輸送部門)が、ここ数年、緩やかな伸びに留まって、EU指令として示されている2020年の使用義務量達成が困難になり始めている状況を記してみた。また、相変わらず製油所売却情報の多いヨーロッパの中から、Totalが英国に持っているLindsey製油所の売却に絡む情報とベラルーシにおける製油所売却に伴うロシアの動きを報告する。

ロシア・NIS諸国に関する情報としては、ロシアの極東地域において4箇所で石油精製・石油化学コンプレックスを建設する動きがあることと、経済基盤が弱い中央アジアのタジキスタンで小規模な製油所の建設情報が得られているので、これらを報告する。

中東地域の情報では、イラクの情報のみになるが、同国で4箇所に新製油所を建設する計画がある中で、Karbala製油所が建設に向けた具体的行動を取り始めた情報、既存のBasra製油所のアップグレード工事情報を拾ってみた。

アフリカ地域に関しては、7月9日に誕生した「南スーダン共和国」における石油絡みの問題を報告し、中南米地域の情報としては、スペインのRepsol YPFがアルゼンチンにおいて精製能力シェアの50%以上を所有している現実と、同社のLa Plata製油所におけるコーカー装置の能力増強工事が進められている情報、更に、エクアドルにおける新製油所建設に中国と韓国が融資を行う計画であることの情報を報告する。

東南アジア地域に関しては、ベトナムにおいて従来から数多くの製油所建設計画が存在している現状と、ベトナム国営石油会社のPetrolimexが、ベトナムと国境を接している中国広西壮族自治区にあるQinzhou製油所と、ベトナム北部のQuang Ninh省にある貯蔵基地を結ぶパイプラインの建設を計画している情報を拾ってみたが、どちらの計画も現実の需要とかけ離れている。

東アジア地域の情報としては、中国山東省の小規模製油所を取巻く環境とCNPCによるこれ等の製油所統合方法に関する情報を報告し、オセアニア地域の情報としては、Shell Refining(Australia)が本社の基本戦略方針に基づき2013年中期までに閉鎖することにしているClyde製油所に関し、組合側から見た閉鎖に伴う調査報告書について報告する。

平成23年(2011年)7月

米国では議会を巻き込んでカナダ産原油輸送パイプラインの建設問題が議論を呼んでいる。パイプラインからの漏洩事故が続いているだけに、建設賛成の立場を取るグループにとっては必ずしも好ましい状況とは言えない。米国向け輸送が遅れるにつれ、太平洋岸への輸送パイプラインが注目されるようになってきている。カナダ産原油処理を睨んだ米国内の製油所拡張工事もここ数年で次々に完成するだけに米国内では様々な思惑が動いているように思われる。

ヨーロッパにおいて製油所を取巻く環境は相変わらず厳しい状況で、地場市場の縮小、極限状態の精製マージン、世界的な市場需要構成の変化等、好材料は見出されていない。そんな中、今回報告事項としては取上げなかったが、フランス政府が石油精製関係企業を招集し、議論の上「国家行動計画」を発表するなど、国家レベルで建て直しを図る動きがでてきている。

ロシアにおいては今年初めから続いている石油製品不足(ガソリン)は、鎮静化に向かっているものの、不足状態は解消されていない。そんな中、単発的とも取れる製油所建設構想が持ち上がっているが、その実現性はともかく、ロシアの関心が従来のヨーロッパから極東に移りつつある状況は読み取れる。

中東においては、今月度、クウェートにおいて大きな決定が下されている。2006年に計画が立案され、建設することで一旦決定が下されたものの2009年になって中止となったAl-Zour製油所建設に向けた再開である。サウジアラビアで進められている新製油所建設と共に目が離せない情報である。

これら中東の新製油所建設状況とともにウォッチングが必要な情報が中国の精製能力増強情報で、国際エネルギー機関から報告された資料を紹介する。東南アジアに関しては、ここ数ヶ月、マレーシアが活発に動いている状況を伝える情報が多く得られているが、今月は石油貯蔵設備の建設に向けた動きを紹介する。

平成23年(2011年)6月

今年3月30日に、オバマ大統領がエネルギー安全保障に向けた演説を行ったことをきっかけに、米国はもとより世界中でシェールオイル、シェールガス等の非在来型エネルギー開発やバイオ燃料開発に弾みがついている様に見受けられる。

航空機用バイオ燃料開発に向けた動きも、その一つと捉えることが出来る。JPECレポート2010-032「航空機用バイオ燃料開発の現状」でも触れられている様に、航空機用燃料の使用量並びに航空機分野から排出されるCO2の量は、ともに世界中で消費されている燃料並びにCO2排出量の約3%を占めており、数値的には“多い”と言い難い。

しかし、この数値は、現在、燃料中の硫黄分規制に絡み、国際海事機関(IMO)で注目を集めている外洋船舶で使われている燃料消費量とほぼ同一である。陸上輸送用燃料、海上輸送用燃料に次いで航空機用燃料においても、地球温暖化要因ガスの排出量削減に向けた取り組みをないがしろには出来ない。今月度は米国、オセアニアにおいて航空機用バイオ燃料に関わる情報が収集されているので、これらについて報告する。

米国のバイオ燃料開発については、これまでも大手石油会社による当該分野への投資は各種捉えられているが、必ずしも大手とは言えない会社であっても、再生可能燃料基準(RFS-2)を遵守する一助にする目的で当該分野に投資している。

また、米国市場におけるガソリン需要の低下、高品質ガソリン指向及びRFS-2規制が製油所の拡張・改造意欲を削ぐ要因になっていることを、カリフォルニア州にあるChevronのRichmond製油所更新工事に見ることが出来るので、これらについて報告する。

ヨーロッパ地域においては、イタリアのEniが独自に開発したEni Slurry Technology(EST)の実装置建設に向けた展開とポーランドの石油分野が大きく揺れている情報を報告する。また、ロシア・NIS諸国情報として、中央アジアのウズベキスタンの石油分野が日本企業と関係がある情報、ロシアからの石油製品輸入に頼ってきたモンゴルが、この度のロシアの石油製品輸出関税引き上げに伴い、大きな打撃を受けている状況を報告する。

アフリカ地域の製油所動向に関しては、南アフリカが計画しているCoega製油所(40万BPD)の建設計画が、今年末にかけて大きく計画変更になる可能性を秘めている状況を紹介し、中南米では、これまでブラジルの単独行動で進められてきた建設中のAbreu e Lima 製油所(23万BPD)が、ブラジルとベネズエラの共同事業として本来の姿通り進める一歩を踏み出した情報を報告する。

東南アジアについては、フィリピンとスリランカにおける製油所拡張工事及び新設動向の情報に加え、タイの製油所地図が塗り替えられようとしている情報を報告し、東アジア地域情報としては、中国国営石油会社と海外の国営石油会社の共同事業による製油所建設が始まろうとしている情報の中から、海外企業としてKuwait Petroleum Corp.とRosneftの動きが捉えられているので、これらについて報告する。

平成23年(2011年)5月

オバマ大統領が3月にエネルギー安全保障に向けた演説を行って以来、米国における再生可能エネルギーの開発、国内の非在来型燃料の開発に関わる情報が多くなったように見受けられる。加えて、従来からの動きではあるが、輸入原油を中東、中南米に求めるのではなく近隣のカナダ、メキシコに求める動きも加速されているようだ。

今月号では取上げなかったが、カナダのオイルサンド由来の原油を米国メキシコ湾岸までパイプライン輸送しようとする動きは、環境問題を重要視する各種機関の反対、最近発生したパイプラインからの漏洩事故の影響で足踏み状態にはなっているが、近い将来、何らかの解決策が見出されるものと思われる。

今回「北米」の項で報告している情報の一つ一つは、大きな内容のものではないが、最近、取上げられることの多いバイオ燃料や非在来型燃料としてのタイトオイルの開発と結び付けられる内容のものである。

ヨーロッパでは相変わらず製油所を取り巻く環境が冷え込んだ状態である。国際石油資本の撤退と、替わって国営石油会社が進出してきている傾向がヨーロッパ地域で観察されるが、この傾向を簡単に解析・概括したインターネット記事を紹介してみたい。

また、バイオ燃料を世界的に普及させることで、輸送分野から排出されるCO2量を大幅に低減できるとする資料を国際エネルギー機関が4月に公表した。「技術ロードマップ-輸送用バイオ燃料」と題する報告書である。便宜上「ヨーロッパ」の項に掲載したが、 総輸送用燃料に占めるバイオ燃料の割合を今日の2%から2050年には27%に増加させるための各方面から分析した技術的条件が記載されている。

「ロシア・NIS 諸国」の項では、最近、ロシアで大きな問題となっている石油不足の背景に関わる情報を取り上げ、「中東」の項では、特にクウェートが海外で製油所建設の動きを見せている情報並びに長年懸案となっているAl Zour製油所建設計画の現状を記した。

「アフリカ」の項では、アフリカ地域に限らず世界の全ての地域で下流部門からの石油メジャーの撤退が観察されているが、アフリカ市場に例をとり、石油メジャーに替わって大手石油トレーダーが進出している現象の長所・短所について触れてみた。

東南アジア地域では、インドの製油所建設・拡張工事に関する多くの情報の中から、4月以降に収集された情報をまとめてみた。この地域の情報の中で、特に注目しておきたい情報は、マレーシアの「RAPIDプロジェクト」に関するものであるが、同プロジェクトと台湾の「國光石化科技の石油精製・石油化学プロジェクト」が結び付く可能性があるように思われる。

中国に関しては、国家発展改革委員会が発表した「2011年版産業構造調整指導目録」に基づく、競争力強化のための小規模製油所の集約に関する情報を紹介する。

平成23年(2011年)4月

中東をはじめとする石油産出国における政情不安を背景に原油価格が高騰を続け、米国ではオバマ大統領はエネルギー安全保障に向けた演説を行い、2025 年までに輸入原油量を現状の66%にまで削減するとの野心的な政策を打ち出している。

この政策実現には国内原油生産量の大幅な増強を要すると思われるが、最近の米国の状況を見ると、特に内陸部での原油生産に拍車がかけられ、あたかもブームが起こっているように見受けられる。また、国内原油増産に応えるかのような製油所拡張情報も得られている。これらの情報を目の当りにすると、オバマ大統領の演説も国内状況を見据えた上で行なわれたもので、政策実現もあながち不可能とは思われない状況である。

この様な状況とは裏腹にヨーロッパでは相変わらず苦悩が続いている。今月号では東ヨーロッパにおける情報が多く収集されているので、これらについて概要を報告する。
西ヨーロッパにおいては、ドイツでE10ガソリンの販売が今年初めから開始されているが、一般国民への事前の広報活動が充分でなかった側面があり、政府の思惑通りの推移にはなっていない。

ここ数年、石油メジャーの不採算資産の整理の嵐は世界中に吹き荒れ、未だに収まりを見せていない。今月号では中南米でExxon MobilやShellが石油販売事業を売却し、この地域からの撤退を決めた情報が得られている。

オーストラリアにおいてもShellはClyde製油所を閉鎖しターミナル化する方針であるが、オーストラリアのケースは少し状況が異なっているように思われる。Clyde製油所の閉鎖に関しては、地理的にも近いアジアや中東で活発に建設が進められている輸出型大規模製油所との製造コストの比較において太刀打ち出来ない状況になっていることは理解できる。しかし、同国の場合は天然資源開発が活発で、この分野における石油製品需要が旺盛である。この需要に対応した製品ターミナルは積極的に建設されている。

その他、中東と中国の間で緊密な関係が構築されている様子、インドにおいて中断していたVizag製油所建設に向けた再開の動き、フィリピンのLimay製油所の拡張・近代化情報についても報告する。

平成23年(2011年)3月

今月、インターネット上に多く報道されたのはヨーロッパ、特に英国における製油所売買に関する情報である。英国内に9 箇所ある製油所の内、ターミナル化された製油所や、売却に付された製油所、売却が噂されていた製油所を合わせると、一時期は合計7製油所にのぼっていた。

しかし、これらの製油所も今年に入り売却先が決まり始め、1月に報告した通りINEOSのGrangemouth製油所にPetroChinaが参画することが決まり、TotalのLindsey製油所も交渉相手は不明だが、交渉が大詰めを迎えているとされている。今月は新たにChevronのPenbroke製油所がValeroに、また、ShellのStanlow 製油所がEssarに売却することが決まったとメディアが伝えている。

ヨーロッパの製油所売買に関わる情報に加え、同地域の製油所にとって地中海を挟んだ対岸のリビアの内紛が大きな懸案事項となっている。リビア原油を多く輸入しているヨーロッパの製油所が、同国の内紛が長期化の様相を見せているのに伴ない同国からの原油輸入量が滞り、従来から指摘されていた構造的な脆弱性を示し始めている。

米国においては、大型合併とは言い難いものの地域的特殊性を持つHolly Corp.とFrontier Oil Corp.の両社が均等合併し、新たに独立系精製専業会社の「HollyFrontier Corporation」が誕生している。

ロシアでは、東シベリア-太平洋原油パイプライン(ESPO)で輸送されてくる原油を処理する大型製油所を国営石油会社のRosneftがナホトカ近郊に建設するとした従来からの情報に加え、今月は国営ガス会社のGazpromがサハリン州に製油所建設の動きを見せている情報が得られた。両製油所ともに輸出型の製油所で、建設が実現するとロシア極東には既存の2製油所を含めて4製油所体制になり、日本への影響が大きいと思われる。

中東、アフリカ、中南米においては、相変わらず製油所建設情報は多い。これらの中には、実現されると思われる製油所建設計画もあるが、実現までのスケジュールが不明なプロジェクトも多い。本報告書の中では、その内の数例を抽出し、建設計画の内容を紹介してみた。

平成23年(2011年)2月

最近の1〜2ヶ月間で高級潤滑油基材製造装置並びに潤滑油再生装置の新規建設に関わる記事が非常に多く報道されている。背景には中国を始めとするアジアの新興国で工業が盛んになっていることや自動車の普及が反映されているものと考えられる。

中国自動車工業協会の発表では、「2010年、国内自動車市場の生産台数と販売台数はそれぞれ1,800万台を超え、前年比30%増を達成した。」とある。政府の政策が後押しをした特殊性はあるにせよ2011年には2,000万台を超えると言われている。

中国のみならず先進国でも今まで以上に高級潤滑油市場が拡大しつつある。今月号で取り上げた米国でのChevronによる高級潤滑油基材製造装置の建設情報、サウジアラビアのYanbu潤滑油製造設備の能力倍増情報、インドネシアにおけるShell等3社による潤滑油製造工場の建設計画以外にも、潤滑油に関わる多くの情報を集めることが出来る。
1月以降に報道された情報を列記してみると;

・Petronasが中国で潤滑油製造事業を強化するため、中国山東省のWeifang St.Maria Lubricating Oil Co.を買収。
・カザフスタンのKazMunaiGasがShymkent製油所に潤滑油製造設備を建設予定。
・インドのHPCL はMumbai製油所を潤滑油ブレンド工場に転用することを検討。
・ロシアのLukoilの子会社・LLK International傘下の潤滑油製造設備では、2010年はどの工場もフル生産状態で、
 生産量は前年比32%増加して約140万トンであった。
・セルビアのNaftna Industrija Srbije AD (NIS)では、潤滑油市場が好調で、製品の97%はアジアを主として海外向けに
 輸出している。
・バーレーンでAgas Lubas Groupが建設していた潤滑油再生装置(3.6万トン/年)が完成。
・米国の大手潤滑油再生会社のUniversal Lubricantsは、需要が拡大している潤滑油再生市場に対応して設備を拡張。
この様に、上記した項目を見ても世界各国で潤滑油市場が活気付いていることが判る。

潤滑油関連記事以外には、米国においてBP が2010年4月20日にメキシコ湾で発生した爆発火災事故の賠償資金確保のため、米国内のCarson製油所とTexas City製油所の 売却を発表したこと、Marathon Oil Corp.が上流及び下流部門を完全分離し、米国内5番目の規模の石油精製事業体を設立したこと、を挙げることが出来る。

ロシアでは燃料油のEuro-4基準対応に向けた設備のアップグレードが進み、製品として出荷され始めていること、同国極東地域にある既存製油所についても同様にEuro-4基準対応に向けた投資が急ピッチで進められている。更に東シベリア−太平洋原油パイプラインの第2期工事が、計画より早いペースで進んでいる情報が得られており、日本海を挟んだ対岸の開発が今まで以上のスピードで進められるものと思われる。

また、南アフリカのCoega新製油所建設を巡っては、政府の思惑とは反対に既存石油会社の反対が根強く、未だに建設費の予算化が出来ず、実現の難しさを示している。

その他、インド洋の孤島に製油所を建設する動きに絡んだインドとアフリカの状況、ブラジルの海底油田開発に関するPetrobrasとGulpの動きや韓国における製油所アップグレード工事の概況について報告する。

平成23年(2011年)1月

ゆっくりしたペースではあるが世界経済に回復の兆しが見え始め、精製マージンも底を打ったと報道するメディアが多いが、世界的にはまだ精製能力余剰が続き、原油価格も高止まりになっている上、先進国をはじめとする各国の環境規制は強まる一方で、精製事業の基盤はまだ脆弱であると言わざるを得ない。

温室効果ガスの目標設定に積極的な姿勢を見せている米国においては、製油所から排出される温室効果ガス(GHG)の取締りが本格的になる動きが現れはじめている。

カナダではオイルサンド事業が少しずつ活況を呈し、オイルサンドの生産量を増加するプロジェクトが現れはじめ、製油所設備投資面でも積極的とは言えないが、苦慮しながらも少しでも付加価値の高い製品製造構成に変えようとする動きが見えている。

ヨーロッパでは、一時下火だった製油所売買交渉が再び活発化し、INEOSのGrangemouth 製油所やLavera 製油所のように他社との共同運営形態で運転が継続されるところがある反面ShellのHarburg製油所のように売却先が無くターミナル化を余儀なくされるところも新たに現れている。そればかりか、未だ多くの製油所が売買交渉の席にすら就けずに置かれた状態である。

欧米の製油所が置かれている状況とは反対に中東や中国、その他開発途上国における製油所建設の動きは力強く、今回の最新情報では、特に中東で一時延期されていた新製油所建設プロジェクトが動き始めている。

平成22年(2010年)11月の動向

11月度の世界製油所関連最新情報では、米国でのSunoco社の3製油所売却/閉鎖の報道が伝えられる一方、ロシアNIS地域におけるPrimorsk製油所、アゼルバイジャンの製油所建設計画が前進、中東でのオマーン、UAE、アブダビでも製油所拡張計画、東南アジアにおけるベトナムの製油所建設計画、スリランカ、シンガポールの製油所拡張計画などの情報が伝えられている。

このような欧米での製油所閉鎖/売却とその他の発展途上国での製油所建設/拡張の動きは、今年一年を通した傾向となった。また、それ以外では中国CNPCの援助によるキューバでの製油所拡張計画など中南米諸国での中国石油企業の動きも目立っており、中国政府によるカリブ海沿岸諸国への資金援助等と合わせて、中国の世界的なエネルギー戦略が窺がわれる。

また、今年後半になってからは、一時中断/棚上げ状態になっていた中東地域やロシアNIS諸国での製油所建設計画の動きが再び顕著になっており、世界景気の回復とその結果ともいうべき原油価格上昇がこの動きの原動力となっている模様である。

また、上記の動き以外では11 月度には欧州、オーストラリアにおけるバイオ燃料関係の情報も多く得られている。ドイツでのE10 販売開始のニュースやデンマークでのセルロース由来エタノール5%混合ガソリンの販売開始のニュースはバイオ燃料導入に向けた試みが着々と進行していることを感じさせる。一方、オーストラリアでの輸入エタノールに対する税金引き下げやエタノール生産業者に対する補助金削減に起因する国内流通体制の乱れによるE10義務化時期の遅れなどのニュースからは、バイオ燃料の本格的な国内流通の困難さも感じさせられる。


平成22年(2010年)10月の動向

(1) 石油精製業の将来展望を記した2 つの資料
監査、税務、コンサルティング等各種業務を提供している英国のDeloitte 社は、グループを構成する企業の専門家へのインタビューを通じ、翌年の世界のエネルギー状況を簡単な資料にまとめて、ホームページで公開している。今年で2年目になるが、10月19日に“Energy Predictions 2011”と題する当該資料を公開した(*12)。今年は石油精製に関する単独項目を設けて記載しているので、その概要を紹介してみたい。

2009年には世界で5箇所の新製油所が稼動を開始しているが、全て中東とアジアである。特にアジアでの精製能力増加が大きく、新製油所建設と既存設備の拡張工事で増加した処理能力は100万BPD を超えている。2009年の北米における能力増強は既存設備の拡張工事による約39.3万BPDで、中東では20万BPDであった。

ある専門家の予測では、2011年から2015年の5年間でアジアでの精製能力増加は275万BPDに及ぶとしている。これまで長期に亘り、欧米が石油精製基地及び消費地として主要な地位を保ってきたが、今後はアジアがその地位に取って代わることになる。

世界の石油精製業は、「これまで欧米がその中心であったが、今後はアジアが中心となることは確実であり、大きな流れの変化となっている」ことを指摘した上で、「そのアジアでどの油種の石油製品が市場をリードしていくかを予測することは困難だが、車社会の普及と共にガソリンは間違いなく高需要を維持し、製油所の稼働率向上の牽引役を演じるだろう」と結んでいる。

Deloitte社の資料に対し、OPECが毎年更新している「世界石油展望」にも2030年までの世界の石油精製の展望が記載されている。この資料は11月4日に「World Oil Outlook 2010」として公表されているが(*13)、石油精製業にとってDeloitte社の資料よりかなり厳しい内容になっている。

OPECの資料でも2009年に稼動を開始した新製油所能力は110万BPDで、この点ではDeloitteの資料とほぼ同様であるが、同資料では、この能力増強に対して2009年の需要は130万BPD低下しているため、2009年の1年間で発生した需給ギャップは240万BPDになるとしている点がDeloitte社の資料には記載されていないことである。

OPECの石油精製業の将来展望では、現状で存在する上述の240万BPDのギャップを前提として2015年までを見通した場合、公表されている製油所新設や拡張計画を加算していくと、需給のギャップは実に合計730万BPD になるとしている。

燃料需要の低迷、新製油所の稼動、バイオ燃料の需要増加及び製品需要の変化等により、精製マージンや製油所稼働率は厳しい圧力に晒されており、これらを勘案すると、健全な石油精製業であるにはOECD諸国を中心として700万BPDの処理能力削減を要すると結論付けている。

なお、昨年のOPEC 資料を見ると(2009年7月度に報告)、2014年時点で削減が必要な精製能力は今年と同様の数値となっており、事態が改善されていないことを窺わせている。

(*12) http://www.deloitte.com/assets/Dcom-Global/Local%20Assets/Documents/Energy_Res ources/6810A_EnergyPredict10_sm5.pdf
(*13) http://www.worldenergyoutlook.org/docs/weo2010/weo2010_london_nov9.pdf


(2) 閉鎖または売却が検討された世界の製油所
ヨーロッパ地域の製油所売却情報については2010年8月時点で報告しているが、その後も状況がかなり動いている。表1 は11月17日にBloomberg社が公表した閉鎖または売却が検討された世界の製油所のリストを当センターで作成したものある(*14)。

表に記載した全ての製油所が運転を停止したわけではなく、また、売買契約が成立していないところが多い。更に、個別企業が当該製油所に持つ部分的な権益を売却し、製油所全体が売買の対象となっていない例もあるので注意を要する。ターミナル化された製油所、運転を停止する可能性が高いと考えられる製油所には、表中で黄色く網掛けしているが、これらをみると地域に偏りがある事がわかる。

ここ数年で売却が検討された製油所はヨーロッパ地域で350万BPD近くに上っており、実際にターミナル化等による運転停止で削減された精製能力は67.7万BPDにのぼると思われる。また、北米地域でもヨーロッパ地域同様に売却が検討された製油所が多く、その精製能力の合計は約157万BPDである。しかし、現状で運転を停止したところは少なく14.7万BPDに過ぎない。また、アジア・太平洋地域では売却が検討されているとの情報は殆どないが、日本では38万BPD強の設備が運転を停止すると見られる。

世界の製油所を取巻く環境は正に“氷河期”と言えるが、特にヨーロッパと日本が厳しいと言える。

(*14) http://www.bloomberg.com/news/2010-11-17/petroplus-tamoil-are-among-world-refi ners-to-shut-sites-table-.html


表1.運転停止または売却が検討された世界の製油所(2010年11月中旬現在)

Country Company Refinery Capacity
(千BPD)
EUROPE
Lithuania PKN Orlen Lietuva 200
Romania OMV Arpechim 70
Italy Tamoil Cremona 95
France Petroplus Reichstett 85
France Total Dunkirk 137
France Total Gonfreville 173
U.K. Conoco Humber 221
U.K. Murphy Oil Milford Haven Wales 130
U.K. Total Lindsey 221
U.K. Chevron Pembroke 210
U.K. Petroplus Teesside 117
U.K. Shell Stanlow 233
Germany Conoco Wilhelmshaven 260
Germany Shell Hamburg 110
Germany Shell Heide 91
Germany Ruhr Oel Gelsenkirchen 266
Germany Ruhr Oel Miro Karlsruhe 311
Germany Ruhr Oel Bayernoil Neustadt Vohburg 240
Germany Ruhr Oel PCK Schwedt 226
Sweden Shell Gothenburg 78
Sub-Total 3,474
NORTH/CENTRAL AMERICA
Netherlands Valero Aruba 275
Canada Shell Montreal 130
USA (VA) Western Yorktown 71
USA (LA) Exxon Chalmette 196
USA (LA) Murphy Oil Meraux 125
USA (WI) Murphy Oil Superior 35
USA (HI) Chevron Kapolei 54
USA (NJ) Sunoco Eagle Point 150
USA (CA) Big West Bakersfield 68
USA (NM) Western Bloomfield 17
USA (TX) Valero Corpus Christ East 20
USA (MN) Marathon St. Paul Park 74
USA (NJ) Valero Paulsboro 166
USA (DE) Valero Delaware City 190
Sub-Total 1,571
ASIA PACIFIC
Japan Showa Shell Keihin 120
Japan JX Holdings Negishi 70
Japan JX Holdings Mizushima 110
Japan JX Holdings Oita 24
Japan Nihonkai Oil Toyama 60
Taiwan CPC Corp. Kaohsiung 25
New Zealand Shell Marsden Pt 109
Sub-Total 518
TOTAL 5,563

注)黄色く網掛けした製油所はターミナル化等で運転を停止した、又は、停止の可能性が高い製油所を示す。


平成22年(2010年)9月の動向

石油・石炭をはじめ再生可能エネルギー等あらゆるエネルギーを扱う非営利・非政府組織である世界エネルギー会議(WEC:World Energy Council)の第21回大会が、カナダのモントリオールで9月12日から16日までの5日間開催された。

大会は3 年ごとに開催されるエネルギー資源に関する国際会議で、毎回世界のエネルギー事情について討議されている。今回も各国の政府高官、各種国際機関の代表、エネルギー産業からの代表及び各種研究機関の代表等が講演や発表を行っている。

5日間の会議で各スピーカーが使用したプレゼンテーション資料はWECのHPで公表されている(*10)。会議の模様や具体的な討議内容は不明だが、プレゼンテーション資料からかなりのことは知り得るので、興味のある方はHPにアクセスし、個別資料をご覧いただきたい。

なお、石油上流部門に関する事項としては、カナダのオイルサンド、米国や中国におけるオイルシェール、北米でのシェールガスに関わる問題や二酸化炭素(CO2)の回収・貯蔵(CCS:Carbon Capture and Storage)の現状が話し合われている。バイオ燃料に関わる事項ではブラジル国営石油会社のPetrobrasが進めるバイオ燃料戦略、アルゼンチンにおけるバイオ燃料の現状のほか、バイオ燃料製造技術に関するテーマも議題に上っている。

9月16日の閉会式でWEC会長は「Equality、Development、Climate(平等、開発、気候)」の3つのキーワードを掲げ、今後、継続的に「エネルギー供給の不均衡、新規燃料開発、気候変動問題」の課題に対処していかなければならないことを強調している。

WECには先進国から途上国まで世界の約100ヶ国が加盟しているが、日本での国内委員会は社団法人日本動力協会が務めている。今回のモントリオール大会の議題の日本語訳や日本からの講演者・表内容の概要の紹介がなされているので参照願いたい(*11)。なお、次回は2013年に韓国の大邱市で開かれることが決まっている。

(*10) http://www.wecmontreal2010.ca/index.php?lang=en
(*11) http://www.jea-wec.or.jp/sogo/topics/20100709-001.html


平成22年(2010年)8月の動向

国際エネルギー機関(IEA)が毎月刊行している「Oil Market Report」の最新版(10 September 2010)」(*9)によると、2010年の世界の石油需要は前年に比較し190万BPD増加し8,660万BPD になり、2011年は更に130万BPD の増加が見込まれる、としている。

これに対し、世界の製油所処理能力の増強計画を調査すると2010年での増強分は141万BPDと予測され、需要の増加を下回っていることになる。需要増を下回った分は稼動率の向上で対応することになるので、世界全体としては1%程度の稼動率改善につながる可能性を示していることになる。しかし、地域ごとに見てみると処理能力増強と需要増との間にミスマッチが観察される。

例えば、中国の場合は長期的には現在建設中、並びに計画中の設備能力増強は約330万BPD と見込まれているが、2010年の需要増76.6万BPD(2011年は3.3万BPD)に対して、2010年の製油所能力の増強は48.4万BPDである。

逆にインドでは2010年の需要増が10万BPDであるのに対し、能力増強は26.8万BPDとされ、能力増強の方が大きい。また、米国ではエネルギー情報局(EIA)の報告によると米国内の石油需要は落ち込んでいるが、2010年の設備能力は微増で、中期的にもカナダ産オイルサンドの処理を見込んだ中西部の製油所を中心に拡張工事が進められている。

(*9) http://omrpublic.iea.org/currentissues/high.pdf


平成22年(2010年)7月の動向

バイオ産業・技術に関する世界的な組織の「BIO」が去る6月末にWashington, D.C.で開催した世界会議「World Congress on Industrial Biotechnology and Bioprocessing」で、Novozymesの最高経営責任者が世界経済フォーラム(WEF:World Economic Forum)が作成した「The Future of Industrial Biorefineries」と題する報告書(*8)を公表した。報告書自体はWEFを含む複数の機関がMcKinsey & Co.に委託して作成したものである。

同報告書には、バイオマスを原料に発酵、Fischer-Tropsch 法、エステル交換及びメタノール合成等の技術を駆使して製造するバイオエタノールやバイオディーゼル等の燃料、SNG (Synthetic Natural Gas)やBTL (Biomass-to-Liquid)、更にはこれらを原料とした化学製品を製造する一連の「バイオリファイナリー産業」がもたらす可能性について、2020年時点で想定される状況が記載されている。

その内容の一部を紹介すると以下の通りである。
@ バイオ燃料市場は現在の3倍以上に拡大し、現規制に基づき使用が義務付けられるバイオ燃料の総売上高だけでも950億ドルに達すると見積られる。
A 米国並びにEU27カ国で消費される熱エネルギーや電力分野の需要は2倍以上になる。
B バイオ・ベースの化学製品は顕著な成長を見せ、化学製品全体に占めるシェアは約9パーセントに達する。
C バイオリファイナリー産業全体の事業活動の価値連鎖(Value Chain)分析を行うと、エネルギー原料となる各種バイオマス生産分野の潜在能力は高く、この分野だけで金額にして900億ドルになるとみられる。

同報告書には上記した経済効果以外にも、世界のバイオリファイナリーの現状や解決すべき主要課題並びに要因についても記載されており、参考になる資料である。

バイオリファイナリー産業の現状は、まだ発展の初期段階にありリスクが大きいと判断されるため、単一企業の事業活動に委ねるべきではないと考えられるが、何十万もの雇用創出及び地球温暖化ガスの排出抑制の主要産業となり得るだけに各国政府が早期商業化に向けて下支えする必要があると同報告書は訴えている。

(*8) http://www3.weforum.org/docs/WEF_FutureIndustrialBiorefineries_Report_2010.pdf


平成22年(2010年)6月の動向

ケンブリッジ・エネルギー研究所(IHS CERA:IHS Cambridge Energy Research Associates)は、定期的にエネルギーに関わる幾つかの指数を公表しているが、その中の一つに石油下流部門建設コスト指数(DCCI:Downstream Capital Costs Index)がある。製油所や石油化学設備の建設コストについて、その時点の建設費が基準年である2000年を100とした場合と比較し、同等の設備を建設した場合に幾らと見積れるか検討し指数化したものである。

DCCIの推移を見ると(*7)、これまで2008年第3四半期の187を最高値とし、2009年第1四半期にはピーク時に比較して9%低下し170を示したが、その後、同年第3四半期には173を示し、上昇傾向を表していた。続く2010年第1四半期のDCCIは175で更に1.5%上昇し、ピーク時には及ばないものの製油所建設コストが昨年来、確実に上昇傾向にある事を示している。

IHS CERAの解説では、精製マージンは依然として低いが世界経済が回復基調にあり、建設資基材等のコスト上昇を促していることや不況前から開始されていたプロジェクトを終了させようとする継続的活動が指数を押し上げているとしている。

現在、北米、西ヨーロッパ及び日本では精製能力の余剰が叫ばれており、今後も合理化・整理が進められると予測されているが、石油製品需要が好調で政府の精製能力増強方針が執られている中国、インド及び中東では建設工事が継続していることは見逃せない。HIS CERAは、この様な環境下で上昇に転じているDCCIは、近い将来、2008年の最高値に到達するのではないかと予想している。

IHS CERAは簡単な説明として、DCCIは建設コストの平均的な変動を表す「消費者物価指数」の様なものであるとしている。10年前と比較して製品の品質や製油所設備構成が大きく変化している現在、DCCIが建設コストの実態を的確に表わしたものであるか否かは検討を要するが、DCCIの上昇傾向が石油精製業全体の復調を示すものであれば歓迎したい数値である。

(*7) http://ihsindexes.com/dcci-graph0608.htm


平成22年(2010年)5月の動向

6月上旬に「BP Statistical Review of World Energy-June 2010(*6)」が発表になっている。2009年における化石燃料のほか原子力、水力等のエネルギーに係わる統計が過去の経緯と共に報告されている。

資料中の石油に係わる事項を2008年との比較で見てみると、先ず製油所設備能力は196.3万BPDの増加を示し、世界全体で9,062万BPDとなっている。設備能力が減少した国は英国、日本、ドイツになっており、逆に設備能力が増加した国は中国(82.3万BPD)、インド(58.2万BPD)が圧倒的に多く、次いでタイ(6.5万BPD)になっており、この3国で世界の設備能力増加分の75%を占めている。意外に思われる国は米国とカナダで、この両国の設備能力は2008年に比較し微増している。また、OECD 諸国の設備能力は4,520万BPDであるから、非OECD諸国の設備能力がOECD諸国の設備能力を初めて上回った事になる。

製油所処理量で見ると、世界全体では前年より147.4万BPDの減少が報告されており、OECD加盟国合計では178.1万BPDの減少、EUとしては87.1万BPD の減少である。中南米諸国合計の減少も大きく61.4万BPDを示し、米国と日本は夫々33.5万BPD と31.9万BPD の減少であった。これに対し増加した国は中国が57万BPDとなっており、個別国名の表示は無いが日本及び中国を除くアジア・大洋州地域の合計が46万BPDの増加を示している。

世界の石油消費量は約116万BPD減少し8,407万BPDとなっている。これは前年比1.7%の減少に相当する。絶対値として消費量の減少が大きかった国は、米国、日本、ロシア、イタリアの順で、消費量が増加した国は中国、サウジアラビア、インド、クウェートの順になっている。

(*6) http://www.bp.com/liveassets/bp_internet/globalbp/globalbp_uk_english/reports_ and_publications/statistical_energy_review_2008/STAGING/local_assets/2010_down loads/statistical_review_of_world_energy_full_report_2010.pdf


平成22年(2010年)4月の動向

4月9日に総合資源エネルギー調査会第8 回石油分科会が開催されている。会議資料の「平成22〜26年度石油製品需要見通し(燃料油)(*4)」を見ると、日本における需要量は2009 年実績見込みで約1.92億KL であるが、2014 年には約1.61 億KL となり3,100万KL の減少が見込まれている。実に16%強、62万BPD相当の減少である。

需要の落ち込みが大きい製品は重油で、特に電力用重油の2009年度から2014年度間の落ち込みは約50%を示している。落ち込みの小さい製品は、石油化学原料としてのナフサとジェット燃料油であるが、これらの製品でも3.4〜4.6%のマイナスで、これら以外の製品は2桁台のマイナスを示す等、石油精製業にとり明るい材料は見えてこない。

製油所能力削減に関しては、新日本石油と新日鉱ホールディングの経営統合で誕生した国内最大手のJXホールディングは、2010年度中に40万BPDの削減を行う事に加え2013年度までに更に20万BPDを追加削減する計画である。出光興産は2013年度を目処に10万BD程度の精製能力を削減すると第3 次連結中期経営計画で記している。この他、昭和シェル石油は今年2月時点で京浜製油所扇町工場(12万BPD)の閉鎖を発表しており、コスモ石油でも製油所処理能力の見直しを2月に行い、8万BPD の削減を発表している。

上述の通り、現時点で各社が発表している製油所能力の削減数値を合計すると、2013年度末までに現能力から90万バレルが削減される事になるが、各社共に今後の国内需要減少に対応し、更なる削減を行う可能性が高いと思われる。

「石油製品需要の構造的な減少の要因」に関しては、石油分科会会議の参考資料(*5)で概要が解析されているが、これを見ると日本の石油産業も各国の温暖化対策、並びに原油価格動向や世界的の原油需給の変化等、世界の動きの影響を強く受けている事を感じざるを得ない。また、日本の製油所の特徴としてスケールメリット・効率性・競争力に関係する常圧蒸留装置規摸が近隣アジア諸国に比し小規模である事が示されており、今後は重質油分解能力が高い製油所へと移行する必要性が指摘されるなど、従来に増して経営努力が要求されている。

(*4) http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g100409aj.html
(*5) http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100409a09j.pdf


平成22年(2010年)3月の動向

欧州委員会は、2020年までにEU域内で使用するエネルギーの20%以上をバイオ燃料やバイオマス等を含む再生可能エネルギーとする指令(2009/28/EC)を出しているが、今年3月に各国から提出された達成に向けたシナリオをまとめた結果を公表した(*2,*3 )。
それによると、エネルギー需要全体に占める再生可能エネルギーの割合は2020年までに20.3%となり、目標値を若干上回るとの見通しになっている。

各国から提出されたシナリオを見ると、EU加盟27カ国の内、10 カ国が設定目標値以上を提示し、12カ国が設定目標値通りになると想定している。目標値を大きく上回る国はスペインとドイツである。

自国内の再生可能エネルギー資源のみでは目標値をクリア出来ない国はいわゆる「Cooperation Mechanisms」を利用し、目標値を達成出来ている加盟国から未達分を購入するか、EU 以外の第3国から独自に相当分を購入する事になる。設定目標値の未達国はイタリア、ベルギー、デンマーク、ルクセンブルグ、マルタの5 カ国で、中でもイタリアの未達分の割合が大きい。

(*2) http://ec.europa.eu/energy/renewables/transparency_platform/forecast_documents_e n.htm
(*3) http://ec.europa.eu/energy/renewables/transparency_platform/doc/0_forecast_summa ry.pdf


平成22年(2010年)2月の動向

石油メジャー各社の下流部門の整理が続いている。各社が発表した数値を見ると、2009年第4 四半期の収支は莫大な損失を計上している。BPの精製販売部門の幹部は、2010年も精製マージンの大幅な改善は望めないが、2009年の第4四半期が精製マージンの“底”であろうとの認識を示している。また、別の幹部は、この様な状況下、世界中で石油会社の精製部門の再編成も必要だと語っている。

Bank of America Merrill Lynch が発表した数値によると、2009 年の1 年間で北米とヨーロッパで閉鎖された製油所能力は100 万BPD を超えたが、今年も昨年以上の数値を示し、132万BPD になると予測している。また、米国コロラド州Vailで2月に開催された「Credit Suisse Energy Summit Conference 2010」でTesoro Corp.のCEO であるBruce Smith 氏も、「精製マージンの改善が見込めず、2010年に発生する米国内の製油所閉鎖は2009年より多くなり、主要石油会社製油所も例外ではなくなる」と予測した上で、「今年閉鎖される製油所能力は170 万BPD 近くになるのではないか」としている。

この様な欧米の状況に対照を成している地域の一つOPEC では「今後5年間で650億ドルを投資して製油所能力の拡張を図り、OPEC 諸国内外で製品販売を加速させる方針である。」とサウジアラビアのAl Riyadh 紙が伝えている。同紙が伝えるところによると、650 億ドルの内の約400億ドルはOPEC諸国内の精製能力拡張用投資で、能力を現状より200万BPD 増強して1,000万BPD とする、としている。

各種メディアが報じている通り、西欧での製油所能力が急激に下降し、中東、アジア、中南米に集約されていく様を目の当たりにしている。


平成22年(2010年)1月の動向

Ernst and Young 社が発表した調査報告書(*1)を読むと、2009年に行われた世界の石油・ガス分野の企業の合併・買収は、金額にすると前年より10%増加し1,980億ドルであるが、大型合併が比較的多く、件数としては前年実績より減少している事がわかる。

下流部門を見ると、前年から扱い件数としての減少が起こり、2009年は30%少ない153件で、金額としても400億ドルから380億ドルに減少している。件数的には153件の内の45%強に当る70件が北米で発生し、ヨーロッパでは38件、アジアでは21件となっている。石油精製に限ってみると、2009 年の件数は13件と報告されている。言うまでもなく、現在交渉中の合併・買収も数多く存在し、これらの案件は上記数値に表れていない。同報告書では、2010年は世界的な精製能力の余剰を受けて、特に、ヨーロッパ、米国で企業の合併・買収件数が多くなると想定している。

製油所稼働率について見ると、世界経済の停滞並びに需要減退を受け急激に低下し、80%を割り込む状況が続いているが、今後5年間で収益が取れると言われている83〜84%の状態に稼働率を戻すには、更に相当量の処理能力削減が必要であるとロイター紙がEnergy Market Consultants の調査報告結果を引用する形で報道している。過去、300万BPD強の能力の閉鎖をしてきている精製業界であるが、今後更に2倍以上の閉鎖が必要であると分析する専門家も少なくない。IEAの分析でも昨年10月時点での製油所稼働率 は77.5%になっているとし、1995年以来最低のレベルであると報告している。製油所閉鎖は先進諸国で顕著で、ヨーロッパ、北米及び日本に偏りを見せており、次第にSaudi Aramco、中国の3大石油会社並びにPetrobrasと言った国営石油会社に精製能力が集約されつつあるとも分析している。

過去1 年間に限って世界で閉鎖された製油所及び能力を調べてみると表1の通りで、この短い期間だけでも閉鎖された処理能力は149万BPD になっている。


表1. 過去1 年間に世界で閉鎖された製油所能力

国 名 会 社 製油所 能力
(千BPD)
停止時期 備 考
米国 Valero Delaware City 185 2009 年11 月 総処理量、21 万BPD の一部
  Sunoco Eagle Point 145 2009 年11 月  
  Big West Bakersfield 66 2009 年1 月 親会社の倒産
  Western Bloomfield 17 2009 年11 月  
アルバ Valero Aruba 235 2009 年7 月  
カナダ Shell Montreal East 130 2010 年  
フランス Total Dunkirk 160 2009 年9 月 総処理量、33.9 万BPD の一部
Gonfreville 91 2009 年8 月
英国 Petroplus Teesside 117 2009 年3 月  
スペイン Repsol Bilbao 90 2009 年9 月 総処理量、22 万BPD の一部
日本 新日本石油 水島 110 2009 年7 月〜 総処理量、40万BPDの一部
        2010 年3 月予定  
    富山 60 2009 年1 月  
  コスモ石油 四日市 85 2009 年11 月 総処理量、17.5 万BPD の一部
  1,491  

尚、この表には稼働率を極端に低下させている製油所や火災事故等で一時的に運転を停止させている製油所、ナイジェリアの製油所の様に保守点検上の問題で長期運転停止している製油所等は含ませていない。

(*1) http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/Global_Oil_and_gas_transactions_review_-_2009/$ FILE/Global_oil_and_gas_transactions_review_2009.pdf