世界製油所関連最新情報(月次レポート)  東アジア

世界製油所関連最新情報(月次レポート)  東アジア

本資料は、一般財団法人 石油エネルギー技術センター石油情報プラザの情報探査で得られた情報を、整理、分析したものです。
無断転載、複製を禁止します。

平成24年(2012年)

12月

  1. 中国CNPC、天然ガス供給地域を拡大
    中国国営石油・天然ガス企業China National Petroleum Corporation (CNPC)および 子会社PetroChinaの中国国内の天然ガス供給事業の最近の状況を紹介する。天然ガス事業に力を入れるCNPCおよび天然ガスパイプライン敷設とともに国内各地で天然ガス供給契約の締結を進めている。図-4に関連する地名の概略の位置関係を示す。

    @ PetroChinaは、Guangzhou市(広州市)との間でクリーンエネルギー供給に関する基本契約を
        11月初めに締結した。契約によるとPetroChinaはWest-East Gas PipelinesU、Vから天然ガスを
        工業施設のボイラー、火力発電所、分散型発電設備、郊外のガス供給網に提供する。Guangzhou
        市は、PetroChinaの事業の発展とパイプライン敷設プロジェクトを支援することになる(*1)。
    A CNPCは11月半ばに、チベット自治区政府と天然ガス供給の基本合意契約を締結した。合意
        内容は、チベットの持続可能な経済、社会の発展に貢献する為に、同地域のエネルギー供給構成
        の最適化を図り、エネルギー供給を保証するもの。同地域の生態環境の保護に配慮しながら、
        生活水準の向上を目指すとしている。計画にはLhasa (ラサ)市におけるガス暖房システムの
        構築が含まれている。現時点ではGuangzhou市の計画に比べても具体的なプロジェクトは
        明らかでない(*2)。
    B 続いてPetroChinaは12月上旬に、Hefei(合肥市)地方政府との間で天然ガス供給の基本合意契約
        を締結した。これには、今後10年間でHefeiを中国東部ひいては中国全土のクリーンエネルギー
        産業の見本となる都市に育てようという狙いがある(*3)。

    合意したところによると、PetroChinaは第十二、十三次五ヶ年計画の期間内(2011〜2015年、2016年〜2020年)にPetroChinaはWest East Gas Pipeline等からHefeiに、天然ガスを44億m3/年供給する。これにより同地の一次エネルギー消費量に占める天然ガスの比率は現在の1.5%から15%に拡大し、エネルギー効率を改善し、GHG(温室効果ガス)の排出、大気汚染物質の排出抑制を実現するとしている。

    中国各地への天然ガス供給の拡大には、天然ガスパイプラインの建設が鍵を握っているが、CNPCは10月半ばにWest-East Gas Pipeline Vの起工式典を北京で開催した(*4)。

    同パイプラインはXinjiang(新疆ウイグル自治区)のHorgosとFujian(福建省)のFuzhou (福州市)を結ぶもので全長は7,378km、年間輸送能力は300億m3で完成は2015年となると計画されている。このパイプラインは中央アジアの天然ガスとTarim (タリム)盆地の天然ガスさらにXinjiangの CBM(coal bed methane)からガスを提供する。

    同パイプラインは建設中のCentral Asia-China gas pipeline Line Cと結合する計画で、完成は2015年と計画されている。West-East Gas Pipeline Vが完成すると中国の1次エネルギー消費量に占める天然ガスの比率は1%強拡大し、CO2排出量を年間1.3億トン、SO2排出量を年間144万トン、粉塵(dust)の排出量を年間66万トン、NOx排出量を年間36万トン削減することになる。

    続いて、12月上旬にはMyanmar-China Gas PipelineとYunnan Urban Gas Projectの建設工事がYunnan(雲南)省Kunming(昆明)市Anning (安寧市)で始まった。Yunnan省とCNPCは2010年に基本契約を締結し、投資額は46億人民元(7.4億ドル)でCNPCが主要な投資者として建設を担当する。パイプラインは総延長が1,700kmで21の支線で15の県や市を結ぶ計画である。2013年6月に一部が操業を開始し、2020年に全システムが利用可能となる予定となっている(*5)。
    図-4 天然ガス供給地域とWest-East Gas Pipelineの位置関係

    (*1)http://www.cnpc.com.cn/News/en/press/newsreleases/201211/20121102_C1462.shtml
    (*2)http://www.cnpc.com.cn/News/en/press/newsreleases/201211/20121122_C1464.shtml
    (*3)http://www.cnpc.com.cn/News/en/press/newsreleases/201212/20121206_C1469.shtml
    (*4)http://english.gov.cn/2012-10/16/content_2245024.htm
    (*5)http://www.cnpc.com.cn/News/en/press/newsreleases/201212/20121210_C1470.shtml

  2. IEA、中国の原油精製能力の拡大と製品輸出の可能性を予測
    11月初め、国際エネルギー機関(International Energy Agency、IEA)は中国の石油精製能力の拡大と、世界市場の関係についての予測を公表したのでその内容を紹介する(*6)。

    中国の石油精製関連の基本データをBP統計、米国エネルギー情報局(EIA)のCountry Analysisから拾うと、2011年の中国の原油生産量(NGL等を含む)は2.03億トン/年(406万BPD)、消費量は4.618億トン/年(923.6万BPD)、原油精製能力は1,083.4万BPDとなる。

    EIA,Country Analysisの最新版(2012年8月改訂)では、現在の精製能力を1,160万BPD超とし、2015年に1,400万BPD、2020年までに1,600万BPDとなるという予想値を採用している。同レポートでは、製油所の新増設計画の主なものとして、Sinopecの7プロジェクト、CNPC/PetroChinaの10プロジェクト、CNOOCの1プロジェクト、Sinochemの2プロジェクトを例示している。

    IEAの発表では、中国の原油需要量見通しを、2年前の2016年の予測値より100万BPD引き下げ2012-2017年の間の増加分を210万BPD、精製能力の伸びを290万BPDに置いている。また中国の国営石油企業は、2015年までに同国の精製能力は1,500万BPDまで拡大するとしている。

    この見通しでは、国内需要の伸びに対して精製能力の伸びが相対的に高くなることになり、過剰な生産能力をもたらすことが予想される。このことからIEAは、中国の大幅な精製能力拡大は、周辺地域向けのみならず世界市場への製品輸出に繋がることも視野に入れている。

    IEAによると2011年時点で中国は、ガソリン類を5万BPD輸出(純輸出量)、重油を25万BPD輸入している。これは、現時点では、中国がほぼ製品輸出入で20万BPD程度の水準の輸入超過にあることを意味している。

    今後、中国が他の精製競争力の劣る地域と競合した場合、同国は2017年に需要に対して過剰な120万BPDを生産できることになる。中国政府は、RosneftとCNPCのJV のTianjin Refinery製油所に輸出の為の製品を購入・販売を外資参画プロジェクト案件としては初めて認可している。

    なお中国企業は、既にヨーロッパ、カリブ海。アジア地域で石油製品の貯蔵施設の使用や保有の拡大を進めている。

    中国の製油所能力と製品輸出余力に関しては、中国経済成長と密接に関連していることは言うまでもないが、製油所新増設計画の進捗と、短中期的な経済の成長とのタイムラグによる需給の過不足による製油輸出入が国際市場に与える影響は大きいため、今回のIEAの報告のような節目ごとの分析が今後も必要であると見ることができる。

    なお中国では、上記の大企業による精製能力拡張以外にも、Tea Pot Refineryと称される小規模製油所・精製企業が多数存在し、それらも独自に拡張計画を立てていると見られることから、引き続き中国の精製能力の余剰に対しては、きめ細かく動向に注目していく必要がある。

    (*6)http://www.iea.org/newsroomandevents/news/2012/november/name,33057,en.html

11月

  1. 中国の石油化学プラントの新規稼働状況
    石油化学製品の増産が続く、中国で、10月から11月にかけてChina National Petroleum Corp(CNPC)からのエチレンプラントが2基稼働を始めた。またより加工度の高いポリマー製品の試験製品の試験生産にも成功したと伝えられた。一方Sinopecからもエチレンプロジェクトが政府から承認されたと発表があった。

    (1)Daqing Petrochemicalの国産技術によるエチレンプラントが稼働 CNPCのDaqing(大慶)を拠点とする子会社Daqing Petrochemicalは、エチレン製造能力を60万トン/年から、120万トン/年に拡張する為の建設工事を2007年12月末に着工していたが、2012年6月末に製造能力60万トン/年の新設備が完成し、10月初旬にオンスペック製品での稼働が発表された(*1 ,*2)。

    計画既設の60万トン/年プラントの隣接地に、エチレンプラント(製造能力60万トン/年)、ポリプロピレンプラント(製造能力30万トン/年)、分解ガソリン水添設備(処理能力60万トン/年)、アロマ抽出設備(処理能力40万トン/年)、ポリエチレンプラント(製造能力55万トン/年)等を建設するものであった。投資額は、2008年当時の発表では140億人民元とされていたが、完成時の発表では129.51億人民元(20.75億ドル)とされている。

    新設エチレンプラントは、CNPCの子会社China Huanqiu Contracting & Engineering Corpが開発を主導した国産プロセスが採用された。熱分解技術、脱プロパン、水素分離技術が開発され、開発の過程で重要な技術習得を果たしたとしている。また、機器の国産化率も92%に達している。

    エチレンプラントとともに分解ガソリン水添設備等の9設備や水・電力・ガスユーティリティー関連の67基の付帯装置も完成している。

    (*1)http://www.cnpc.com.cn/en/press/newsreleases/Daqing_Petrochemical%EF%BC%87s_ethylene
    _expansion%EF%BC%8Fupgrading_project_is_ready_for_operation_.htm

    (*2)http://www.cnpc.com.cn/en/press/newsreleases/China%E2%80%99s_first_home%EF%BC%8Dmade_large
    _ethylene_unit_put_into_operation_in_Daqing.htm?COLLCC=1656032750&



    (2)Fushun Petrochemicalのエチレンプラントが本格稼働 Daqing Petrochemicalの新設エチレンプラントの稼働の報道に続いて、11月初めにCNPCは、遼寧省撫順(Fushun、 Liaoning)のFushun Petrochemicalの製造能力80万トン/年のエチレンプラントが順調に稼働を開始し、オンスペック製品を製造していると発表した(*3)。

    Fushun Petrochemicalは、2008年に精製能力と石油化学製品製造能力を増強する“精製能力1,000万トン/年(20万BPD)、エチレン製造能力100万トン/年 プロジェクト”を進めていた。

    (*3)http://www.cnpc.com.cn/en/press/newsreleases/The_800Kta_ethylene_unit_at_Fushun_Petrochemical
    _became_operational.htm?COLLCC=1754937659&



    (3)Fushun Petrochemicalがコポリマー製品のテスト生産に成功 CNPCの子会社Fushun Petrochemicalは、エチレンプラントに引き続き、オクテン共重合体(octane copolymer)の試験生産に成功した。これは中国初のPEOc(ポリエチレン・オクテンキョコポリマー、リニアポリエチレン:LLDPE)製造プラントである。製品は、柔軟性・熱伝導性・耐圧・シール性能に優れる透明ポリマーで、床暖房用の配管やパッキングフィルム等に使用される(*4)。

    (*4)http://www.cnpc.com.cn/en/press/newsreleases/2012/Fushun_Petrochemical_puts_successful
    _trial_production_of_PEOc.htm



    (4)Sinopecのエチレンプラント建設プロジェクトが認可される Sinopec(China Petrochemical Corporation)のエチレンプラント建設計画が、計画審査委員会(Project Acceptance Committee)から承認された。プロジェクトはSinopec Zhenhai Refining & Chemical Company が製造能力100万トン/年のエチレンプラントを 浙江省寧波市(Ningbo, Zhejiang)に建設するもの。プロジェクトには、Sinopec Zhenhai Refining & Chemical Companyを大規模な製油所・石油化学コンプレックス企業に発展させSinopecのコアビジネスを強化し、寧波市の経済開発を促進する狙いがある。
  2. 中国、2012年版エネルギー白書を発表、天然ガス消費量拡大の方針
    中国は、10月下旬に2012年エネルギー白書“China's Energy Policy 2012”を発表した(*5)。エネルギー生産の基本データを見ると、2011年の石炭生産量は35.2億トン/年(raw cal)、原油生産量は2億トン(14.8億バレル/年)、精製石油製品の生産量が2.7億トン、天然ガス生産量は1,031億m3/年、発電能力は106億kw,発電量は4.7兆kwhである。

    省エネルギー、環境負荷低減の実績を見ると、2011年のGDP10,000人民元当たりのエネルギー消費量は、2006年に対し20.7%低下(石炭7.1億トン相当)した。またGDP当たりのエネルギー消費量を2010年に比べて2015年末までに16%削減、同じくCO2発生量を17%削減するという目標を掲げている。また非化石エネルギーの割合を、2020年までに一次エネルギー消費の15%、発電量の30%とし、またGDP当たりのCO2排出量を2020年までに2005年に比べ40-45%の削減を目指す。

    白書では、エネルギー増産や省エネルギー・環境負荷低減のためには、多くの課題を解決する必要があり、資源開発・製造技術・新規エネルギー開発の全領域において、技術・研究開発が重要であるとしている。その中で中国は、設備・機器の国産化率を高める方針で、既に深海資源開発リグや精製能力1,000 万トン/年(20万BPD)の製油所設備、製造能力100万トン/年のエチレンプラント等を建造する技術を獲得することができたとしている。

    続いて、中国の国家発展改革委員会(National Development and Reform Commission:NDRC)は、中国の天然ガス需要が2015年に2,300億m3/年(81兆ft3/年)に達するとの予測を発表している。BP統計に示されているデータによると、中国の2011年の天然ガス消費量は1,307億m3/年となっており、4年間で消費量は約75%増となる。中国は石炭からの転換や燃料での利用拡大により環境改善を図る方針で、天然ガスの全エネルギーに対するシェア目標を2020年までに10%に設定している。

    参考までに、IEAは2017年の中国の天然ガスの需要を2011年に比べて倍増の2,730億m3/年、EIAは2035年の需要を3倍増の3,110億m3と予測している。

    一方の天然ガス生産量は2011年に1,031億m3/年であり、需要は既に生産量を上回っている。中国は、シェールガス生産量を2015年までに65億m3/年(2,300億cf3/年)、2020年までに595億m3/年(2.1兆cf3/年)とする目標を掲げており、これが実現すれば2015年の予測消費量を満たすことが出来るが、現在のところシェールガスは掘削技術や地層構造の制約もあり、本格商業生産に至っておらず、目標達成は容易ではないと見られている。

    その中で天然ガス需要が拡大していくことは確実で、不足分はパイプラインやLNGによる輸入で対応することになる。

    続いて10月末、NDRCが天然ガス燃料に関する新方針を策定したと各メディアにより報道された。それによると中国は2015年までに天然ガス自動車の台数を150万台にするとしている。

    現在の中国の天然ガス自動車の台数は、約100万台で、10万台/年の新車が販売されている状況にある。同国の道路交通協会によると、既に天然ガスの圧縮設備、液化設備、貯蔵、輸送設備などの産業インフラは整備されているとしている。しかしながら、その一方で天然ガス充填ステーションは、2011年末で3,000ヶ所に留まっている。天然ガス自動車を現在の100万台から150万台に増やすという今回の計画達成のためには、充填ステーションの拡充が必要になると予想される。

    長期的にはクリーン燃料自動車としては、ハイブリッド車や電気自動車が天然ガス自動車のライバルとなる。天然ガス自動車の普及拡大を左右するファクターは、上記のインフラの整備の課題や競合技術に対する競争力に加えて、上昇傾向にある天然ガス価格の推移である。ここでも、シェールガス開発など国産天然ガス開発の成否が重要な鍵を握っていると見ることができる。

    (*5)http://english.gov.cn/official/2012-10/24/content_2250497.htm

10月

  1. 中国CNOOCのLNGターミナル建設プロジェクトの進捗状況
    9月下旬に、カタールの世界最大級の液化天然ガス(LPG)企業QatargasのLNG船が、中国国営石油・天然ガス企業China National Offshore Oil Corporation (CNOOC )のZhejiang(浙江省) LNG Terminalに初めて到着し、同ターミナルの試運転・操業開始に重要な役割を果たした。着桟にはQatargasとCNOOCの首脳が立ち会った(*1)。

    QatargasのLNG船はカタールの誇る世界最大級の新鋭メンブレン方式(Membrane Type)LNGタンカー Q-Max“ZARGA”(容量266,000m3、QatarのQ、maximum sizeのMaxから命名された。*18)で、CNOOCのLNG ターミナルにとって初めてのQ-Maxタンカーの着桟となった。因みに中国向けの初めてのQatargasの Q-Maxタンカーの用船は、2011年11月のPetroChinaのJiangsu (江蘇省)Rudong(如東)ターミナル向けの“Bu Samra”であった。

    中国はLNGターミナルの建設を積極的に進めており、今年9月に更新されたEIA のCountry Analysis(*19)にまとめられた情報によると、2012年半ば時点の中国の再ガス化設備能力は、1兆cf/年(27憶cf/日)で、2015年までにさらに20憶cf/日分が増強される予定である。BP 統計によると2011年の中国の天然ガス生産量は1,025億m3/年(3.6兆cf/年)、消費量は1,307億m3(4.6兆cf/年)で、LNG の供給能力は天然ガス消費量の1/5〜1/3に相当する。

    中国では、再ガス化設備の建設認可を政府から受けるためには、LNG供給保障が必要であるがCNOOC、CNPC、Sinopec の供給契約は38億cf/日に達している。供給先はインドネシア、マレーシア、オーストラリアでQatargasからは長期契約とスポットでLNGを輸入する。

    中国内で稼働中・建設中・計画中のLNGターミナルは計15か所で、内訳はCNOOCが9ヶ所、CNPCが4ヶ所、Sinopecが2ヶ所となっている。LNGターミナル建設に最も積極的なCNOOCの拠点は江蘇省(Jiangsu)、Shanghai(上海)、Guangdong(広東省)、深セン市(Shenzhen)、掲陽市(Jieyang)、Fujian(福建省)、Hainan(海南省)、浙江省(Zhejiang)、珠海市(Zhuhai)で、操業段階にあるのは3プロジェクトである。CNOOCの最近の動きとしては、FujianターミナルのフェーズUが7月末の稼働を8月末のShenzhen/Diefuターミナルプロジェクトの建設開始が報じられている。

    発電用エネルギーの需要増、供給面ではシェールガスなどの非在来型資源開発による増産を受けて、天然ガスブームを呼んでいるが、パイプラインを利用できない国はLNGによる供給に頼ることになる。中国においては、LNGは安価な国内産やトルクメニスタンからのパイライン天然ガスと競合することになる。中国にはシェールガスが豊富に埋蔵し、2015年に2,300憶cf/年、2020年には2.1兆cf/年のシェールガス生産を目指しており、中長期的には輸入LNGと天然ガスの価格・供給力での競合や棲み分けが予想される。
    図3. 中国の既設・建設・計画段階のLNG基地の所在地(省、市)

    (*1)http://www.qatargas.com.qa/English/MediaCenter/PressReleases/2012/Pages/12Sepcommission
    gcargoZhejianPR.aspx

    (*2)http://www.qatargas.com/English/MediaCenter/PressReleases/2010/Pages/press9.aspx
    (*3)http://www.eia.gov/countries/cab.cfm?fips=CH

  2. 中国のcoal-to-chemical(石炭-化学品)事業の動き
    (1)Sinopec Corpが石炭-化学品事業の推進会社を設立 Sinopec Groupの子会社で中国最大の石油精製企業であるSinopec Corpが、9月末に石炭-化学品(coal-to-chemical)事業を展開するための事業会社を北京に設立したと報道された。

    中国の石炭資源の状況を概観してみると、中国の石炭の可採埋蔵量は、2011年のデータによると米国、ロシアに次ぐ世界第3位、世界の総埋蔵量の13%に相当する1,160億トンで、生産量は世界最大の34億トン/年となる。中国では27省で石炭を算出しているが、山西省(Shanxi)と内モンゴル自治区に採掘の容易な石炭が大量に埋蔵され、国営の石炭採掘大企業の大半がその地域で操業している。

    石炭は2011年の中国の1次エネルギーの70%を担い、消費量は36億トン/年に上り全世界の消費量の半分を占めている。中国は2009年から石炭の純輸入国に転じている(*3)。

    石油と天然ガス資源が不足している中国では、温室効果ガス排出の問題はあるが、今後も国産の豊富な石炭に依存し続けることになる。天然ガスは非在来型資源であるシェールガスの大量の埋蔵が確認され、生産の拡大に期待している。こうした状況では、相対的に液体のエネルギー原料や化学品原料のソースが弱いことになる。

    中国は、石炭関連の新規分野として石炭液化、CBM(coal bed methane:石炭層メタン)、石炭ガス化(coal-to-gas)、スラリー状石炭のパイプライン輸送技術に力を入れ、海外企業からの投資も受け入れるようになった。

    こうした中、石油精製事業に強いSinopec Corpは石炭および天然ガスから化学品を製造するcoal-to-chemical事業を強化するために、同社が全株式を保有するSinopec Great Wall Energy Chemical Co., Ltdを設立したものと見られる。

    発表では、内モンゴル自治区の北部、Xinjiang(新疆ウイグル自治区)の北西部、Ningxia(寧夏回族自治区)、Guizhou(貴州省)南西部、Henan(河南省)中部、and Anhui(安徽省)の6省に2015年までにcoal-to-chemicalプラントを建設することになる。3つの自治区が含まれるのが注目される。

    Sinopec Corpは、本事業を中国のエネルギー供給構造を再構築する上で重要な戦略的役割を担うことになるとしている。

    今回の発表には、coal-to-chemicalプロジェクトの規模や、製造物またプロセスの情報は含まれていない。また、原料となる石炭と天然ガスの比率や位置付けも明らかでない。2015年までに6プラントを建設するとなるとプロジェクトが早々に着手される運びになるものと予想される。Coal-to-chemicalは一般に大規模かつ多段プロセスとなり、環境対策も必要で投資額は高額となる。資金調達や監督機関の認可を含めて今後の政府やSinopec CorpさらにはSinopec Groupの方針決定が重要になる。

    (2)メタノール-オレフィンプロセスの建設計画 中国におけるcoal-to-chemical技術に関して最近の報道による一事例を紹介する。

    10月初めに中国のJilin(吉林省)Jiutai(九台市)のJiutai Energy Groupは、メタノール-オレフィン (Methanol to Olefins :MTO)プロセスの設計を米国のエンジニアリング企業KBRに発注した。

    Jiutai Energy Groupは、2011年にcoal−to−olefisの世界最大級の商業化設備を稼働している。製造プロセスはmethanol-to-olefin(MTO)で、石炭ガス化プロセスで製造したメタノールを原料にプロピレンを製造し、ポリプロピレンまで加工している。

9月

  1. 中国CNPCが内モンゴル自治区で進めてきた製油所拡張工事が完了
    中国の国営石油企業China National Petroleum Corporation(CNPC)グループ企業CNPC Hohhot Petrochemical Companyが進めていた、内モンゴル自治区の省都Hohhot市にあるHohhot Petrochemical製油所の設備拡張・近代化工事が今年7月末に完了し、試運転の準備が整ったとCNPCが発表した(*1)。

    Hohhotの拡張・近代化は2010年8月に着工し、2011年8月からは操業を停止して工事を進めてきた。約2年間の建設工事を経て、付帯設備、貯蔵施設、輸送設備も含めて工期内で完成したことになる。実際の試運転開始は8〜9月初めになる模様である。

    プロジェクトは従来の原油精製能力150万トン/年(3万BPD)から約3倍の500万トン/年(10万BPD)への拡張と2次設備の建設から成り立っている。主な新増設設備と能力は、常圧蒸留装置(CDU)が処理能力500万トン/年(10万BPD)、流動接触分解装置(FCC)が処理能力280万トン/年(5.6万BPD)、ポリプロピレン・プラントが製造能力15万トン/年等となる。建設コストは78億人民元(12.1億ドル)と着工時に報道されていた。

    燃料製品の製造能力はガソリン170万トン/年(3.4万BPD)、ディーゼル燃料210万トン/年(4.3万BPD)、ジェット燃料20万トン/年(4,400BPD)で、稼動後は内モンゴル自治区と山西省(Shanxi province)の市場に向けて製品が出荷される計画である。

    Hohhot Petrochemical製油所は、拡張後の原油処理能力も10万BPDと小〜中規模の設備であるが、CDUに比較して処理能力の大きなFCCを備えていることやポリプロピレン製造プラントを備えていることが特徴である。また製油所の少ない内モンゴル自治区内に建設され同地域をマーケットとしている点からも注目される製油所・石油化学複合施設といえる。

    (*1)http://www.cnpc.com.cn/en/press/newsreleases/Hohhot_Petrochemicals_5_
    Mta_expansionupgrading_project_ready_for_trial_operation.htm

  2. 中国のバイオ航空燃料開発の最近の状況
    中国のバイオ航空燃料の開発状況については、2012年3月号にPetroChina、Sinopecの2大グループの動向を紹介したが、最近になって中国のバイオ航空燃料の開発に対する新たな取り組みが報道されているので紹介する。

    (1)Boeingと中国COMACが技術開発センターを設立し廃食用油を研究 8月中旬に、米国Boeingと中国の航空機メーカー Commercial Aircraft Corp. of China (COMAC:中国商用飛機有限公司)はBoeing-COMAC Aviation Energy Conservation and Emissions Reductions Technology Center(Boeing-COMAC Technology Center)を設立した。センターは北京にあるCOMACの北京のBeijing Civil Aircraft Technology Research Center内に所在する (*2)。

    Boeing-COMAC Technology Centerの設立目的は、民間航空機産業の発展を目指すものであるが、最初の研究テーマにはバイオ航空燃料が選ばれた。これは廃食用油(中国ではgutter oilと呼ばれる調理場などで廃棄された食用油や獣脂を廃油ピット等から回収したもの)を原料に持続可能な燃料油を開発するものである。最初のプロジェクトは、gutter oil中の不純物の同定とクリーンなジェット燃料を製造するための精製プロセスの開発となる。

    Gutter oilが注目される理由は、ジェット燃料の年間消費量が2,000万トンであるのに対し、中国で消費される食用油の量が年間2,900万トンに上り廃油量も相当なものになると見られgutter oilが持続可能な航空燃料の原料として、量的にポテンシャルがあることにある。

    Boeing-COMAC Technology Centerは中国の大学や研究機関と共同で燃料研究や航空機の運航効率化技術の研究を進め、燃料効率の向上とCO2排出量の削減を目指すとしている。

    (2)Airbusが中国の大学と航空バイオ燃料を共同開発 2大旅客機メーカの一つ欧州のAirbusと中国のTsinghua University(精華大学)が航空バイオ燃料分野で共同研究することが8月末に発表された(*3)。

    研究のフェーズTでは、生態学・経済性・社会的な持続可能性(social sustainability) の観点から最適なバイオ航空燃料向けの原料を評価する。持続可能性の検討はAirbusと精華大学と欧州の大学・研究機関が共同で担当する。次のフェーズUでは最も有望な代替燃料の研究に集中することになる。

    2012年後半に得られる最初の結果は、使用済み食用油や藻類系の原料から有望な原料を選び出すことにあり、2013年の初めには持続可能性評価が完了する計画になっている。 2013年からは、持続可能燃料の製造プロセスの研究に移行し、商業化に必要な量を確保するためのスケールアップ開発を進める計画である。

    プロジェクトは中国国内で持続可能なバイオ航空燃料を生産する計画の一つに位置付けられる。Airbusには、2012年までにバイオ航空燃料のバリュー・チェーンを世界の各大陸で確立する狙いがあり、これまでラテンアメリカ・オーストラリア・ヨーロッパで開発プロジェクトを進めている。

    (3)Sinopec系企業が再生可能航空燃料の試作に成功 China Petrochemical Corp.(Sinopec Group)の子会社Sinopec Zhenhai Refining & Chemicalは、廃食用油からバイオ航空燃料の試験生産に成功したと発表した。これを受けてSinopecは、商業飛行の認可に必要な、中国の民用航空当局(Civil Aviation Administration of China)による評価を2013年1月に受ける予定である。

    Sinopec Zhenhaiは2009年から再生可能航空燃料の開発に投資し、現在2万トン/年の製造能力を保有し開発が進んでいる模様である。この生産量では必要量に対しては、未だ僅かな数量であり、未だコスト高になっているものと推定されるが、商業化に向けた製造プロセスの開発が進展しているものと見られる。

    中国では航空燃料の年間消費量が、2020年には現在の2倍の4,000万トンに上ると予測され、供給量の30%の1,200万トンをバイオ燃料とする計画である。今回紹介した3つの発表は、「原料の選定に入る」「原料は選定済みで開発に着手」「試験生産に成功」とそれぞれ開発フェーズに違いがある。いずれも本格的な原料確保・生産能力拡大・コスト削減等の課題解決の前段階にあり、単純に優劣を付けることはできないが、国内外の石油企業、航空機メーカ、有力な大学や海外企業が競ってバイオ航空燃料の開発を進めようとしている様子を窺うことができる。廃食用油がバイオ航空燃料の必要量をある程度賄うことができそうだと見込めるのは、莫大な人口を有する中国のならではの事情といえる。

    (*2)http://boeing.mediaroom.com/index.php?s=43&item=2388
    (*3)http://www.airbus.com/presscentre/pressreleases/press-release-detail/
    detail/airbus-and-china-make-a-push-for-alternative-fuels/

8月

  1. Sinopecの中国最大級の製油所建設計画
    China Petroleum & Chemical Corp.(Sinopec)が、中国東部のJiangsu(江蘇)省に国内最大級の製油所を建設することを計画中であると伝えられた。なお同計画は、昨年6月にも報じられていたものである。

    今回の報道によると、Jiangsuに計画中の製油所の原油処理能力は、3,200万トン/年(64万BPD)で、中国最大規模で、石化コンプレックスを併設することになる。投資額は193億人民元(30億ドル)。建設開始予定は2013年で、フェーズ1で精製能力1,200万トン/年(24万BPD)分を建設し、フェーズ2に残りの2,000万トン/年(40万BPD)分の増設を計画している。

    石油化学プラントでは、フェーズ1に製造能力100万トン/年のパラキシレンプラント、フェーズ2で製造能力100万トン/年のエチレンプラントの建設が計画されている。また、関連インフラとして埠頭の建設と容量30万トンの貯蔵施設の建設も計画されている。

    製油所新設プロジェクトの目的は、中国の燃料製品・石油化学製品の旺盛な需要の伸びに対応するためであることは言うまでもない。

    中国最大、世界2位の石油製品の製造企業であるSinopecの現状を2011年の業績ベースで概観してみる。同社は、34製油所を運営し、設備の新増設プロジェクトが進み精製能力は総計2.49億トン/年(498万BPD)に達している。2011年の原油処理量は前年比3.1%増の2.25億トン/年(451万BPD)で、ガソリン 3,710万トン/年(85万BPD)、ディーゼル 7,717万トン/年(158万BPD)、灯油1,373万トン(30万BPD)、石油化学原料3,738万トン(93万BPD)となり、精製得率は95.1%を記録している。石油製品販売量は1.62億トン/年に達している (*1)。

    同社の2011年の収益を見ると、2011年の精製事業部門は、2010年の利益159億人民元に対し、原油高の影響で358億人民元の損失を計上している。

    Jiangsu製油所の処理能力は、Sinopecの現有精製能力の13%に相当する大きなものになる。設備機器の構成などは把握できていないが、重質原油処理能力が高く、高品質製品を高い収率で生産することが可能な、コスト・品質ともに競争力に優れた最新設備を備えた製油所となるものと予想される。着工予定が2013年ということになると、関係官庁による認可の状況や、資金調達方法、処理原油・製品構成、装置構成、設計・建設工事発注先等々が、今年中に明らかにされていくものと見られる。

    (*1)http://english.sinopec.com/about_sinopec/our_business/refining_selling/

  2. 中国Sinopec、BASFとの石油化学合弁事業をさらに拡大
    SinopecとドイツのBASFは、中国において石油化学事業分野で合弁事業を展開しているが、その状況を紹介する。

    両社は、取り扱い製品を増やしているが、新たにイソノナノール(iso-nonanol:INA)の製造を検討している。INAはフタル酸ジイソノニル(diisononyl-phthalate:DINP)や非フタル酸系の可塑剤であるHexamoll®やDINCH®の原料となる次世代の可塑剤で、市場の拡大が期待されている。

    SinopecとBASFは、7月末に大型INAプラントの建設に関して、技術、営業販売、経済性の観点から検討を進めるための覚書(MoU)を交わした。両社はプロジェクトを50-50の合弁事業とする計画である(*2)。

    INA製造プラント建設地は、中国Guangdong省(広東省)の南西部の Mowming 市(茂名市)ハイテク工業地域で、製造規模は“world scale”とのみ発表されている。EvonokのドイツMarlにあるプラントが生産能力34万トン/年でINAの世界最大級のプラントとされているので、Sinopec-BASFのプラントも10万トン/年台の規模となると見られる。

    Sinopecは、既にBASFとの石油化学分野で合弁企業BASF-YPC Company Limited(出資比率50-50)を2000年に設立し合弁事業を展開しており、今年初頭には14億ドルを投資した第2期プロジェクトが完了している。

    BASF-YPCのプラントは、Jiangsu 省Nanjing市Luhe区 (江蘇省南京市六合区)のNanjing Chemical Industry Park (NCIP:南京化学工業団地)内に建設され、全てのプロセスにBASFの“Verbund”技術が採用された。参考までに、第1、2期工事で建設された製造設備を同社とBASFのHP情報から纏めたものが表1となる。多製造品目の総合石油化学コンプレックスである(*3)。
    表1. BASF-YPC の石油化学製品製造設備の製造能力一覧
    今後SinopecはBASFとの合弁石油化学事業を、中国国内の複数の拠点で展開し、生産品目もコモディティからスペシャリティケミカルまでの幅広い品揃えで事業展開することになる。

    (*2)http://www.basf.com/group/pressrelease/P-12-349
    (*3)http://www.basf-ypc.com.cn/en/about_us/company_profile

7月

  1. 中国CNOOCのTaizhou製油所で原油処理装置の新設工事が始まる
    中国国有石油・天然ガス企業China National Offshore Oil Corp (CNOOC)が、Jiangsu (江蘇)省Taizhou(泰州)に原油処理設備(処理能力 6万BPD)の建設を開始したと、各紙が報じた。プロジェクトの概要は既設の重油・アスファルト製造プラントに10基の新設設備を増設するというもの。投資額は16億ドルと伝えられている。

    CNOOCは、今回の設備増強を「統合石油化学プロジェクト(Integrated Petrochemical Project)」と位置付け、同製油所を潤滑油製造拠点とする予定で、石油化学原料やLPGも併産する計画である。操業開始は2015年に予定されている。

    中国第3位の精製企業であるCNOOCの中国国内の増設計画としては、(1)Guangdong省Huizhou市の同社初めての大型製油所であるHuizhou製油所(処理能力1,200万トン/年、24万BPD)の処理能力を2,200万トン/年(44万BPD)まで拡張する計画、(2)Hebei Zhongjie Cangzhou製油所(処理能力230万トン/年、4.6万BPD)の拡張計画等がある。
  2. 中国北京でEuro-5相当の低硫黄ガソリンの供給が始まる
    中国の首都北京で、低硫黄ガソリンの供給が始まった。自動車、排気ガスによる環境悪化に苦慮している北京では、従来に比べて厳しいガソリン燃料基準が制定され、今年8月1日から適用される。

    現在、北京のガソリン・ディーゼル燃料の硫黄濃度規制値はEuro-4基準相当の硫黄濃度50ppm以下であるが、新たな基準Beijing V”ではEuro-5基準相当の硫黄濃度10ppm以下となる。硫黄濃度基準値の改定とともに、ガソリンのグレードも変更となり、従来のオクタン価ベースのNO.90-NO.93-NO.97グレードは、それぞれNO.89-NO.92-NO.95に変更される。

    北京の硫黄濃度基準は、2008年にそれまでのEuro-3基準相当(ガソリン:S 150ppm以下、ディーゼル燃料:S 350ppm以下)から、Euro-4基準相当(ガソリン・ディーゼル燃料:S 50ppm以下)に改訂されてきた。

    8月1日を前に、Beijing V規格のガソリンの出荷が開始された。中国の最大の燃料製品供給企業である国営China Petrochemical Corporation (Sinopec Group)は5月31日、北京のTianli給油所でBeijing V規格の製品の供給開始セレモニーを開催した。同社は6月15日までに給油所設備の改装を終え、7月31日までに、580箇所超える給油所で製品の切り替えを完了させる予定と発表した(*1)。

    一方、同国第2位の燃料製品供給企業である国営China National Petroleum Corporation(CNPC)は6月15日、Beijing V規格のNO.95ガソリンをHebei(河北)省の North China PetroChemical Companyから出荷した。現在、CNPCのBeijing V規格ガソリン製造能力は30,000トン/月(約8,300BPD)で、北京にはNO.95ガソリンを6,000トン/月(約1,650BPD)供給する計画であると発表している(*2)。今後8月に向けて、ディーゼル燃料の出荷も始まり、2社以外の供給体制も進むと見られる。

    このように、北京には世界最高水準の燃料規格が適用されるが、中国全域に視点を転じると、ディーゼル燃料に対しEuro-3(S 350ppm以下)相当の基準が2011年7月に発効したばかりであり、設備対応ができていない製油所も残っている模様である。

    中国には、大小・新旧様々な製油所が操業しているが、Euro-4、Euro-5基準の導入のためには、多額な設備対応資金が必要であり基準達成は容易ではない。当面は、大都市圏中心に新基準が導入されていくと見られるが、対象が広がるにつれ、設備能力不足が表面化する可能性がある。

    (*1)http://www.sinopecgroup.com/english/Sinopecnews/Pages/201206041613.aspx
    (*2)http://www.cnpc.com.cn/en/press/newsreleases/CNPCsfirstbatchof95gasolinedeliveredtoBeijing.htm

6月

  1. PetroChina、Yunnan製油所の建設計画
    PetroChinaは、Yunnan(雲南)省Anning(安寧)市に計画中のYunnan製油所が、2012年後半に着工する予定である。同製油所は、サウジアラビアのSaudi AramcoとPetroChinaの合弁プロジェクトで、両社の間で2011年3月に覚書が交わされていた。

    プロジェクトの概要は、C1 Energyの伝えることによると原油処理能力は、1,000万トン/年(20万BPD)で、装置構成は常圧蒸留装置のほか、残油水素化脱硫装置(処理能力360万トン/年)、FCC装置(300万トン/年)、水素化分解装置(180万トン/年)、ナフサクラッカー(100万トン/年)。
  2. 中国西部(新疆)の石炭-天然ガス(Coal-to-natural-gas)プラント建設計画
    中国China Petroleum & Chemical Corp.(Sinopec)は、中国Xinjiang Uyghur(新疆ウイグル)自治区でのエネルギー開発に積極的で、製油所の精製能力を増強するとともに、油槽所・SSの建設を進めている。同時に上流部門では、原油と天然ガスの生産量を2011年のそれぞれ725万トン/年、15.9億m3/年から、2015年までに100万トン/年、18億m3/年まで増産する計画である(2012年3月号)。さらに天然ガスパイプラインの建設も2015年完成を目標に進めている。Sinopecはこの計画に530億人民元(80.3億ドル)を投資する計画である。

    ここでは、Xinjiang Uyghur地域でのSinopecの事業拡大計画に関連した石炭ガス化設備の建設計画の新たな動向を紹介する。プロジェクトは、米国のGreatPoint Energyと中国のWanxiang Holdingが、中国Xinjiang Uyghur(新疆ウイグル)自治区のTurpan近郊に世界最大級のCoal to Natural Gas(CTNG)施設を建設するもの。

    プロセスはGreatPoint Energy社が開発したBlugasTMプロセスを採用する(*1)。同プロセスは、石炭・石油コークス・バイオマス等を原料として、水の共存下で触媒反応の組み合わせで、スチームカーボン反応・水性ガスシフト反応・メタネーション反応を組み合わせた「Hydromethanation」反応によりメタンに富んだ合成天然ガスを製造するもの。

    同社は、BlugasTMプロセスは、環境影響を最小限に抑えつつ、最高水準の効率で製造できる最も低コストな天然ガスの工業的製法と説明している。また品質的は、パイプライングレードの天然ガスが製造可能であるとしている。

    スチームカーボン反応 :C   + H2O → CO  + H2
    水性ガスシフト反応 :CO + H2O → H2   + CO2
    メタネーション反応 :CO + 3H2  → CH4 + H2O


    工程は、(1)反応性を高めるための原料への触媒の分散、(2)リアクター内では、高圧スチームが導入し、流動状態で一定の条件で、触媒と炭素粒子が効率よく接触し反応を進行させる。(3)触媒は循環使用される。 反応はシングルリアクターで進行し、主生成物はメタンと二酸化炭素混合物となる。BlugasTMにはGreatPointが開発した触媒が使用される。この触媒は、硫黄に対する許容度が高く、反応温度が低く抑えられ勝つ低コスト原料から製造できるという特長がある。さらにBlugasTM技術は、不純物回収、生成CO2回収工程もカバーしている。

    現在GreatPointとWanxiangの両者で設備検討を進めているが、フェーズ1計画では、2015年に天然ガス生産量300億ft3/年(8.5億m3/年)で運転を開始し、2年以内に1,160億ft3/年(34億m3/年)に拡張を予定している。稼動は2015年の予定である。最終的には、生産量は1兆ft3/年(300億m3/年)を視野に置いた大プロジェクトとなる。フェーズ1プロジェクトの投資額は12.5億ドルで、Wanxiang社が資金を調達する。

    製造される天然ガスは、Sinopecが買い取る契約で、建設予定のパイプラインを使用する計画である。

    (*1)http://www.greatpointenergy.com/ourtechnology.php

5月

  1. 中国政府CNPCとPDVSAの合弁製油所建設計画を最終認可、着工
    広東省Jieyang市に建設が計画されていた(2011年2月号)中国China National Petroleum Corp.(CNPC)とベネズエラ国営Petroleos de Venezuela S.A.(PDVSA)の合弁Jieyang製油所の建設プロジェクトが国務院(State Council)から最終的な承認を得て、4月末に着工した。

    製油所の原油処理能力は2,000万トン/年(40万BPD)で、ベネズエラのオリノコベルト産の重質原油を処理する仕様。プロジェクトはグリーンフィールドで原油受入れ、製品出荷ターミナル・貯蔵設備・配管設備を含む。建設費は90億ドル前後。プロジェクトの株式保有配分はCNPCが60%で、PDVSAが残りの40%である。工期は3-4年で、完成は2016年の予定。

    中国は2015年までに自国の精製能力を330万BPD増強し、2016年には精製能力を1,500万BPDとする計画であるが、CNPCにとって本プロジェクトは、原油の安定供給先の確保と製油所建設の両面で重要である。また、Jieyang製油所はCNPCにとって中国南部で2番目の製油所となり、同社の国内市場戦略面でも重要なポジションを占めることになる。(*1)

    ベネズエラは、同国の原油の輸出先を多様化する方針であり、特にアジア市場を見据えているが、本プロジェクトにより同国の超重質原油を処理できる安定的な大需要先を確保することになる。PDVSAは中国で製油所をさらに建設する計画で、処理量を80万 BPDとする計画が伝えられている。

    PDVSAは中国に対するアプローチを深めているが、3月末にPDVAのR&D部門である PDVA Intevepと中国の石油探査開発研究所(Research Institute of Petroleum Exploration and Development of China)は上流・下流分野での協同研究に同意したと発表している。

    中国の海外原油調達先の確保、(超)重質原油処理設備への技術的対応、高額投資を要する2国間プロジェクトという観点から建設状況と今後のプロジェクトの展開に引き続き注目して行きたい。

    (*1)http://www.eia.gov/countries/cab.cfm?fips=CH

  2. Samsung Total Petrochemicalsが韓国国内へガソリンを供給
    韓国の石油化学企業Samsung Total Petrochemicals Co.が、ガソリンを国内市場に供給を始める。同社は、Samsung Group のSamsung General Chemicalsと Total S.A.とTotal Petrochemicals)の50/50の合弁企業で、ナフサを出発原料として石化製品、エチレン・プロピレン・BTX製品・オレフィン系ポリマーを製造するとともに燃料・ガスを併産している。

    我が国同様に、原油の殆どを輸入に依存している韓国は、原油価格の高騰を受け国内の燃料価格が上昇し、国内経済を直撃している。長期的な対策として同国は、自主海外原油開発を始めとする原油の安定調達策を進める一方、昨年よりマーケット対策として格安ガソリン販売専門のSSの設置や石油製品の電子取引導入等の方策を講じている。この措置に、必要なガソリンは国営のKorea National Oil Corp(KNOC)が国内外から調達している。

    Samsung Totalは、これまでガソリンを3.7万バレル/月(約44万バレル/年)生産し輸出してきたが、国内供給要求に応じるため、5月から生産量を12.5万バレル/月に引き上げる計画である。同社は4月に設備改造工事を実施する。

    今回の決定で、Samsung Totalは、韓国でSK Energy、GS Caltex、S-Oil、Hyundai Oil Bankに続く5番目のガソリン供給企業となる。製品は6月からKNOCを通じて格安SSで販売されると伝えられ、現在供給量や価格等の交渉が行われている模様である。なお、ディーゼル燃料の扱いは明らかでない。韓国のガソリン消費量は約18万BPD程度であり、5月の増産後の生産能力分が全て国内販売された場合、その量は約4,200BPDとなり、韓国の消費量に占める割合は2.3%程度となる。

    韓国Chungnam 州のDaesanにあるSamsung Totalの装置構成は処理能力8万BPDのナフサ(コンデンセート)分留装置(スプリッター)、ナフサクラッカー、アロマ製造装置、ポリマー製造装置である。同社は、石油化学製品増産のための増設を計画中で(2012年2月号)で、石油化学製品の増産とともに、高品質ディーゼル燃料燃料とジェット燃料の増産が可能となる。設備完成は2014年。

    Samsung Total の参入による格安SSへのガソリン供給や業界内競争へのインパクトが、政府の意図するガソリン価格の引下げ、安定化にどの程度貢献できるかが注目される。一方、ナフサ(コンデンセート)を出発原料とする同社のガソリン製造と石化製品製造のバランスがどのように推移し同社の事業(収益)へどのような影響を及ぼすかについて、一方の親会社Totalの動向も合わせて関心がもたれるところである。

4月

  1. Hyundai Oil Bank、Shell Petroleumと合弁でベースオイル生産
    今年始め、韓国の石油精製企業Hyundai Oil BankとShell Petroleum Co.との合弁の潤滑油ベースオイルプラント建設プロジェクトが伝えられていたが、4月に合弁企業Hyundai and Shell Base Oil Co. が正式に発足した。出資比率はHyundai Oil Bankが60%、Shell Petroleum Co.が40%。

    プラントはHyundai Oil BankのDaesan製油所内に建設される予定。Daesan製油所は、首都ソウルの南西110kmにあるDaesan(大山)の3.3万uに展開している。同製油所は常圧蒸留装置(処理能力:39万BPD)、減圧蒸留装置(6万BPD)のほか改質装置、水素化精製装置、水素化分解装置、アロマ(BTX)製造設備等を備える。(*1)

    建設されるベースオイルプラントの処理能力は2万BPDで、ベースオイル1.3万BPD、重油7,000BPDの能力で、完成は2014年後半の予定。製造されるベースオイルはShellの販売網によりアジア市場で販売される。
    この計画によりHyundai Oil Bankは潤滑油事業分野に進出することになり、同社が目指す総合エネルギー企業へ向けて前進することになり、収益貢献に期待している。一方のShellには、成長を続けるアジア市場における潤滑油事業を強化する狙いがある。

    (*1)http://www.oilbank.co.kr/english/businessdomain/refining/facility_info.html

  2. 中国で建設中の製油所の稼動計画(Sichuan、Quanzhou)
    PetroChinaが中国南西部の四川省に建設中のSichuan製油所が2012年12月に試運転に入る予定である。同製油所の主要設備は原油処理能力20万BPDの常圧蒸留装置をはじめ、残油水素化処理装置、水素化分解装置、CCR(連続触媒再生式改質装置)等である。

    処理原油は中国北西部やカザフスタンの重質原油。PetroChinaは昨年4月、北西部のGansuのLanzhou原油ハブから延長878km、輸送能力20万BPDの原油パイプラインの建設を開始したが、同製油所はこのパイプラインから原油の供給を受ける計画である。

    Sinochem Corpにとって初めての大型製油所となるQuanzhouに建設中の製油所は計画より若干早く2013年6月に試運転に入ると発表された。同製油所の主要設備は原油処理能力24万BPDの常圧蒸留装置、減圧蒸留装置、FCC、水素化分解装置、コーカー装置等で、処理原油は中東原油。

    Sinochemは、同製油所プロジェクトに海外企業参入を予定しているが、現時点では合弁先は決まっていない模様である。

3月

  1. 中国Sinopecの新疆ウイグル自治区のTahe製油所拡張計画
    今年2月、China Petroleum and Chemical Corp.(Sinopec)は、新疆ウイグル自治区(Xinjiang region)北西部のKupa郡にあるTahe製油所 (SINOPEC Tahe Co.)の拡張プロジェクトを発表した。

    計画によると、2015年までに原油処理能力を倍増し1,000万トン/年(20万BPD)とする。さらに2015年までに貯蔵施設を7箇所、SSを500箇所増設する計画。拡張のための投資額は530億元(84.1億ドル)と報じられているが、現時点では増設設備構成やプロセスライセンスなどは明らかではない。

    Sinopecは製油所拡張による増産・増販に対応して、Sinopecは新疆ウイグル自治区の原油増産を計画している。2015年の生産目標を2011年の725万トン/年に対し900〜1,100万トン/年においている。

    尚、同社は同地域での天然ガス生産も2011年実績の15.9億m3/年から2015年には18〜30億m3へ増産する計画である。Sinopecには原油・天然ガス開発と一体で中国西部における燃料事業(精製・販売)の競争力を高める狙いがあると見られる。

    Tahe製油所 は、主としてTahe油田から産出される重質油を処理している。現在の同製油所の装置構成は、常圧蒸留装置(処理能力500万トン/年、10万BPD)、ディレードコーカー(340万トン/年)、ガソリン・ディーゼル水素化処理装置(240万トン/年)、アスファルト製造装置(4万トン/年)、接触改質装置(15万トン/年)、異性化装置(7万トン/年)、天然ガス改質水素製造装置(能力2.8万m3/時)等の製造プラントと各種インフラ設備、貯蔵・出荷施設を備えている。製品は無鉛ガソリン、ディーゼル燃料、溶剤、アスファルト、LPG、石油コークス、ベンゼン、硫黄等 (*1)。

    同製油所は鉄道配送設備を有し国内各地へ製品を供給している。一方、競合のPetroChina Coは新疆ウイグル自治区に3製油所を保有し処理能力の合計は42万BPDとSinopecを大きく凌いでいる。

    (*1)http://english.sinopec.com/about_sinopec/subsidiaries/refineries_petrochemicals/20080326/3057.shtml

  2. 中国のバイオ航空燃料開発の状況
    - Sinopecが自社開発バイオ航空燃料の評価を当局に申請 -
    中国は、航空燃料に対する欧州連合域内排出量取引制度には反対しているが、中期的にはバイオ航空燃料を導入する計画で、2大石油企業もバイオ航空燃料開発にも力を注いでいる。中国のジェット燃料の消費量は2020年までに現在の2,000万トン/年から倍増し4,000万トン/年となると予想されているが、同国はその30%に相当する1,200万トン/年をバイオ燃料とする計画である。これは大幅な需要増対策と環境対応の両立を見据えたものと見られる(*2)。

    2月末、中国民用航空局(Civil Aviation Administration of China: CAAC)はChina Petrochemical Corp.(Sinopec)が独自に開発した航空機用バイオ燃料の評価を開始すると発表した。

    現在、中国の航空燃料の3/4を生産しているSinopecは、2009年よりバイオ航空燃料の研究を開始した。同社のバイオ航空燃料は、様々な動植物油系原料を水素化精製処理により得られる合成燃料で、廃棄物の利用も可能なもの。

    研究はSinopec Research Institute of Petroleum Processing (RIPP)が担当し、航空会社・機体メーカ・ジェットエンジンメーカとの連携で開発が進められた。その開発の結果、実際の製油所設備を用いた実証生産に成功しSinopecは開発したバイオ航空燃料の評価をCAACに対して申請していた。

    申請を受けたCIAAは、これからSinopecの燃料に対し国際基準に基づいて、一連のラボテストや試験飛行を実施する計画である。Sinopecは航空機に使用した場合の安全性始めとする項目がCIAAにより認証された後、バイオ航空燃料として商業運航に適用のための事業化を進める計画である。

    一方、Sinopecのライバル企業China National Petroleum Corp.(PetroChina)は、ジャトロファ(ナンヨウアブラギリ)由来のバイオ燃料を石油系燃料に配合した航空燃料を用いたテスト飛行をAir Chinaのボーイング747にて 2011年10月に実施済みである。

    PetroChinaは2014年までに6万トン/年の製造能力を持つバイオ燃料製油所の建設を計画している。同社のバイオ航空燃料はHoneywell UOPとの共同開発によるもの。今後Sinopec、PetroChinaの両社はそれぞれ異なる原料ソース、製造プロセス、開発手法で事業化を進めていくことになると見られる。性能確認、規格制定、安全性の確立を確立した後、2020年までに1,200万トン/年という供給計画達成のために商業化に向けた多方面の開発が必要である。

    必須条件であるコスト削減に向けたプロセス開発、製造設備建設、調合・供給・流通インフラ整備および環境品質認証などの大きな課題を限られた期限内で解決する必要があり、今後の進捗に注目していきたい。

    (*2)http://www.pecj.or.jp/japanese/minireport/pdf/H21_2010/2010-032.pdf#search

2月

  1. 韓国Samsung Total Petrochemicalsの設備拡張計画
    2003年に設立された韓国Samsung Groupと仏メジャーTotalの50:50の合弁企業であるSamsung Total Petrochemicals Co LtdはChungnam道Daesanにある石化コンプレックスで広範囲の石油・石油化学製品(エチレンーポリエチレン、エチレンオキサイド-エチレングリコール、プロピレン-ポリプロピレン、アロマ製品、燃料油等)を製造している。

    同社はアジア地域の旺盛な石油化学製品の需要を背景に同地域での収益基盤を一層強化するための事業拡張を図り、Daesanプラントの増設と近代化プロジェクトに総額18億ドルを投資すると発表した。プロジェクトは表1に示す通り「第2アロマプラント」と「エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA:ethylene-vinyl acetate copolymer)プラント」建設の2本柱で構成されている(*1)。

    第2アロマ設備はHoneywell UOPの技術を採用しパラキシレン100万トン/年、ベンゼン42万トン/年を製造するもので、構成ユニットにはParex、Sulfolane、Tatoray、Isomar、CCR Platformingプロセスが導入される。

    アロマ製品増産と並行して高品質軽油の設備も増強される。高品質軽油の生産能力は260万トン/年でUOPのDistillate Unionfining 、Meroxプロセスが採用される。完成は2014年の予定。UOPは1996年にSamsungの最初のアロマプラントへ技術提供した実績がある(*2)。

    新設のEVAプロセスにはオランダを本拠とするLyondellBasellの「Luprotech T」プロセスが選定された。EVAの製造能力は24万トン/年。運転開始は2013年の予定。Samsung TotalはポリプロピレンプラントにLyondellBasellのSpherizone技術を導入済みである。
    表1. Samsung Total Petrochemicalsの設備拡張に伴う設備内容
    なお、現在の生産能力はエチレンが100万トン/年、アロマプラント設備の生産能力はパラキシレンレン61万トン/年、ベンゼン47万トン/年で、プロジェクトが完了すると生産能力は大幅に拡大することになる。

    (*1)http://www.total.com/en/about-total/news/news-940500.html&idActu=2730
    (*2)http://www.uop.com/honeywells-uop-selected-provide-technology-petrochemical-fuels-production
    -south-korea/

  2. Sinopec-KPC合弁の広東省Zhanjiang石化コンプレックスへTotalが参画
    既報のように(2011年3月号6月号12月号)中国国営石油会社Sinopecとクウェート国営石油会社KPC(Kuwait Petroleum Corp)が進めている広東省Zhanjiang石化コンプレックス・プロジェクトは2015年の操業開始を目指している。

    クウェート、中国両国は国際大手の石油・石油化学企業の参画を求めこれまでRoyal Dutch Shell、Dow Chemical、BP等が候補に挙がってきたが合意に到らない状態であった。2012年に入りパートナーとしてTotalの参画が明らかにされ合意契約締結に向かっていると報じられた。

    このプロジェクトは、原油増産を図るクウェートにとっては重質原油の長期安定顧客の確保、Sinopecにとしては中国の原油需要急増に対する安定供給先の確保と石油・石油化学製品の拡販が大きな狙いである。精製部門では欧州の低いマージンに苦慮しているTotalは上流部門の高収益を基に昨年に引き続き投資意欲は旺盛である。

    Totalはアジア地域の石油化学製品需要の急増を受け、欧州に比べ高い収益性が期待できるアジア地区での石油化学事業を強化する戦略があると見られる。Totalは中国での高付加価値石油化学製品の需要を見込み韓国のSamsung Groupとの合弁企業Samsung Total Petrochemicals のアロマ、ケミカル事業拡大のための設備拡張計画を発表している。

1月

  1. 中国における2011年の石油需要実績と2012年見通しの概要
    中国海関総署(China Customs)が発表している2011年の中国の石油需要実績に関する報道記事を調べると、中国の2011年の原油輸入量は約508万BPD (2億5,378万トン)で、対2010年比では28.7万BPD(5.6%)増加したが、2010年は対前年比71万BPDの増加(17.5%)を示していたので、2011年の原油輸入量は伸び率としては大きく鈍化したことになる。

    原油輸入量の伸び率が鈍った原因として、2011年には中国国内では金融引き締め政策が取られていたこと、また、ヨーロッパ経済の停滞が世界経済の停滞に悪影響を与えていたことが理由に挙げられている。中国における原油対外依存度に関しても、2010年1月に報告している様に、原油対外依存度が50%の警戒ラインを突破したのは2009年であったが、2011年には56.6%に達していると見られている。

    これに対して2012年の見通しについて、幾つかの機関から公表されている情報があるが、中国の政府系シンクタンクの「中国社会科学院(CSSN:Chinese Academy of Social Sciences)」が想定する2012年における「中国の原油輸入の伸び率」に関する記事をみると、2012年の国際原油価格は、中東政治情勢、欧州債務危機、米国経済の動向及び新興国経済の発展見通しの4要素によって左右され、中国においては、経済の活発な発展と自動車需要の急成長に伴って石油需要は増加するが、石油生産が追いつかず停滞すら生じかねない、としている。

    国内原油探査において、巨大油田の発見或いは効率的な原油回収等の革新的技術開発がない限り、中国の原油対外依存度は益々増加することを意味している。

    具体的数値を拾ってみると、2012年の中国における石油需要量は大幅な増加を示し、ほぼ950万BPDに達すると考えられている。一方、国内原油生産量は、2012年はそれほど増加せず約400万BPDと見られている。従って、差分の550万BPDが輸入されると見られるが、2011年の輸入量は508万BPDであるから、2011年は10%近い増加の予想となる。

    2011年の中国経済は緩やかな成長に留まったが、2012年上期もその影響が残り緩やかな成長になると考えられ、比較的大きな成長が期待できるのは下期に入ってからと見られている。従って、2012年通年としては2011年に示したような成長率は期待できないと報じられている。

    精製能力に関しては、2011年末で前年比6.9%増の約1,180万BPDに達したと見られているが、昨年は原油輸入量に比例した精製能力の増強にはなっていなかったと思われる。端的な例がジェット燃料の輸入量に見られ、ジェット燃料の輸入量は対前年比48%の多きになっており、製品製造構成の見通しの甘さ以上に精製能力の増強が追いつかなかった状況が想定される。

    2012年の需要量に関し、中国石油・石油化学工業連盟(CPCIF:China Petroleum and Chemical Industry Federation、旧名称はCPCIA:China Petroleum and Chemical Industry Association)が予測している数値に基づくと、2012年の需要量は2011年より5%増加して940〜960万BPDになるとしている。2012年には精製能力増強が行われることになっているので、稼働率としては80%程度ではないかと思われる。